BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「新選組始末記」 1928

新選組始末記―新選組三部作 (中公文庫)

★★★★☆

 

内容

 関係者から聞いた話や残された書面を元に、新選組にまつわる情報を紹介していく。

 

 子母澤寛著。映画やドラマ、舞台の原作にもなっている。

 

感想

 小説ではなく、著者が集めた新選組に関する情報をほぼ時系列に沿って紹介していく形式の本だ。この本が出版されたのは明治維新の60年後で、当時を知る人たちがまだ多くいた時代だったというのは興味深い。天皇関係の話になると言葉遣いが妙に慎重になるのも、いかにも大日本帝国時代の本といった感じがする。

 

 紹介される手紙や文書は漢文のものが多く、読むのに苦労した。ただなんとなく内容は理解できる。池田屋事件後の少し得意げな近藤勇の手紙など、当時の雰囲気が伝わって来て面白い。

 

 

 新選組のターニングポイントとなった芹沢鴨の暗殺には、会津藩の意向があったことが窺えて、単なる内部抗争のわけがないよなと今さらながら思ったりした。また義理の息子の、近藤勇の処刑を間近で見ていた時の話も臨場感があった。

 

 著者は近藤勇に関心を持って調査を始めたようで、彼中心の内容となっている。副長の土方歳三がフィーチャーされがちな新選組だが、関係者の談話や書面を見ていると、近藤勇もやはりトップに立つだけあって、なかなかの人物であったことがよく分かる。

 

 様々な話の中で気に入ったのは、近藤勇と愛人との間に出来た娘のエピソードだ。維新後に、あの近藤勇の娘なのだから彼の名に恥じない生活をさせないと、と関係者が奔走しているのに、当の本人は、そんなの関係ないし、自由に生きたいし、と家出してしまう。今どきの現代っ子みたいで可笑しかった。

 

 しかもその後、下関で芸者となり、父親の仇敵である井上馨や伊藤博文の相手をしていたというから、なんともいえないものがある。まるでよく出来た風刺話みたいだ。彼女の母親も水商売だったので、元々は貧しく、家柄など気にする余裕もない家系だったのだろう。

 

 単純に時系列に沿って紹介されていくだけなのに、頭の中で様々な物語が動き出す。小説みたいに楽しめる本だ。

 

著者

子母澤寛

 

新選組始末記 - Wikipedia

 

 

関連する作品

映画化作品

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com