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「統計学が最強の学問である」 2013

 

統計学が最強の学問である

 

★★★☆☆

 

 容易にデータを収集できるITと結びつき、ますますそのリテラシーが求められる統計学について書かれた本。

 

 最近良く聞くビッグデータという言葉。イメージとしては簡単にたくさんのデータを集め、解析できるようになり凄い、みたいな感じでいたが、そもそもたくさんのデータは必要なのか、という話は、なるほどな、と思った。

 

 そこから統計学の歴史や紹介が始まるのだが、このあたりはかなり面白かった。特にフィッシャーの「ランダム化比較実験」の考え方は感心した。

 

「諸条件をランダム化してしまえば、平均的に比較したい両グループ間で同じになる」

p117

 

 つまり全てのデータを集めなくても、ある程度のサンプルを抽出して統計を取れば、かなり信頼できるデータが集められるということ。なので、ビッグデータを収集、蓄積、解析するということは、その精度を高めるということだが、僅かな誤差を取り除くために、全てのデータを収集するだけの価値があるのか、という事になる。

 

解析はそれ自体価値があるものではなく、それを活かして何を行ない、どれだけの価値を得られそうなのかによって異なるのである。

p55

 

 簡単にたくさんのデータを収集することはできるが、とは言ってもコストもかかるわけだから、それに見合う価値があるかどうかをまず見極める必要がある。

 

 後半も様々な種類の統計方法の紹介が続いていくのだが、段々ついていけなくなり、飽きてきた。一通り読んだ感想としては、最強の学問、というよりも、何するにしても必要となってくる、基本の学問なんだな、という印象。

 

 それから、恐らく安易にビッグデータを導入したがるような、裁量権のある年代の人達を指して「おっさん」と言っているのだろうが、こういう本で30過ぎたおじさんが「おっさん」を連呼している箇所が萎えた。まぁ若いっちゃ若いけど、30代もおっさんじゃないの?そのあたり、統計学的にどうなの?と聞いてみたくなる。

 

著者  西内啓 

 

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

 

統計学が最強の学問である - Wikipedia

 

 

登場する作品

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大学は出たけれど(吹替・活弁版) [VHS]

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実験計画法-POD版

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種の起源〈上〉 (光文社古典新訳文庫)

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学力と階層 (朝日文庫)

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