★★★☆☆
内容
人気書評ブロガーによるスゴ本と出会う方法の指南。
感想
序盤は本の探し方が紹介される。その中で図書館をもっと活用することを推奨しているのは好感が持てた。気になる本を片っ端から買っていたら経済的にきついし、だからといって慎重になるとスゴ本に出会える可能性は低くなってしまう。
だが図書館なら借り放題だ。読むかどうか迷っているくらいの本でも遠慮なく借りればいいし、借りても読まなくたって別にいい。図書館のルールを最大限に活用し、手元に置いておきたい本に出会ったら購入するやり方もありかもしれないなと思わせられた。
次に、本の読み方や書き方について書かれている「本に関する本」を何冊も挙げながらどう読むべきかを紹介した後、著書自身がスゴ本から受けた影響が語られていく。
このパートはそれなりに面白く読みながらも、なんで今こんな話をしているんだっけ?とふと思ってしまう瞬間があった。だが読書体験を話し始めると、どうしても自分の話、個人的な話になるから仕方ない部分はある。あとは著者が述べているように、それを語る人が自分と感性が合うかどうかの問題なのだろう。
この中では「子どもに「死」と「セックス」を教える」の章が非常に興味深かった。どんな親もそれなりに考えてはいるのだろうが、真剣に考えるとこうなるのかと頷きながら読んだ。ちゃんと考えたことがなかっただけに参考になる。
最後は著者が出会ったスゴ本が紹介されていく。誰かにスゴ本を教えてもらうために、まず自分のスゴ本を開示するのは誠実な態度だ。気になった本を自分の読書予定リストに加えつつ読んでいたが、特別付録の「禁断の劇薬小説」の紹介の途中でその作業は止めてしまった。
読みながらこんなのただの変態だろうとついて行けなくなったからだが、人間の可能性を探り、人生を存分に味わいつくそうとするとこうなるのかもしれない。まだ見たことのない景色を見たい、世界を感じたい、という気持ちは分かる。だが、この境地までにはなかなかたどり着けそうもない。人生としっかりと向き合おうとする著者の姿勢が印象的だ。
それから、中盤以降はすっかり鳴りを潜めたが、普通の文章の途中で唐突に挿入される「…やね。」みたいな関西弁風の語尾が妙に気になってしまう本でもあった。誰の影響なのだろうか?
著者
Dain
登場する作品