★★★☆☆
日本のものづくりを支える技術者たちにスポットを当てたコミックエッセイ。
あまりこういう技術者たちの実態を知る機会はないので、なかなか興味深い。時折出てくる回路図は全然理解できないんだけど。
確かにあちこちの小さな町工場に、すごい技術を持った人達がいる日本は凄い国なんだけど、読んでいると色々複雑な気分にもなる。様々な工夫と努力を重ねて試作機を作って、赤字ってなんだよ、とか。量産体制に入れば採算が取れる計算ならいいんだけど、実際はどうなんだろう。
こうやって技術はあるのに、経営としてはギリギリだったりする、って話はたまに聞くけど、こういう所に色々と日本の問題があるような気もする。読んでいるとあまり会社が組織として機能しておらず、個人の技能に頼り切っている感じがある。面白おかしく描こうとしているにしても。
そして技術者側の意識にも問題があるのかもしれない。他のことは何も出来ないけれど、この技術に関しては誰にも負けない、みたいな愚直な職人的な考えは悪くするとうまく利用されるだけってことにもなりかねない。そういう人がいてもいいかもしれないけど、それをうまく組織でカバーしないと。
本の中ではそこの所をうまくやっている会社も登場するけど、こんな所を目指してほしいなぁと思ってしまう。すごい技術を持ってます、だけじゃなくて。
それから、今もそうなのかわからないけど、ゲーム業界は色々と怪しい人達がウヨウヨしているんだな、って事がわかった。まぁ当たればデカい業界だから、山師みたいな人達が集まってくるんだろうな。
著者 見ル野栄司