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「爆速! アルゴリズム 毎日の生活がみるみるうちに変わる」 2019

爆速! アルゴリズム: 毎日の生活がみるみるうちに変わる

★★★☆☆

 

内容

 プログラミングだけでなく日常生活でも使われているアルゴリズムについて、分かりやすく紹介する。 

 

感想

 易しい内容で気軽に簡単に読み進められるかと思いきや、全然そんなことはなかった。対数や指数、逆関数、log関数などのワードが普通に出てきて、心が折れそうになった。数学的知識がある人には易しいのかもしれない。

 

 洗濯物の山の中から同じペアの靴下を見つけるにはどうしたらいいのか、というような身近な話題をもとにアルゴリズムが紹介されていく。ただ、問題に対してすぐに解答を提示して解説に入ってしまうのでどうにもしっくりこない。どちらかというと、どういう考え方をすれば、効率的な答えが導き出せるかという発想方法の方が興味があった。考え方も示されずにいきなり答えだけ教えられても、活用しようがない。

 

 

 いくつか紹介されているアルゴリズムの中では、情報の圧縮方法の話が面白かった。文章データの圧縮のために、一文字一文字に固定長の文字コードを割り当てるのではなく、よく使われている文字には短いコード、あまり使われない文字には長いコードを割り当てることで、全体としてのデータ量を著しく減らすというデイヴィッド・A ・ハフマンが考案した方法。普通は固定長のコードを割り当てて思考停止してしまいそうなのに、そのさらに先を考えられるのはすごいなと素直に感心してしまった。

 

 本書は、普段プログラミングとは縁がない人に日常生活でも実はアルゴリズムが使われていることを知らせて親しみを持ってもらおうとしているのか、プログラミングを学習している人に、アルゴリズムは実は日常生活でも活用されているということを伝えようとしているのか、良く分からないどっちつかずの内容となっている。ただ、プログラミングの基礎知識がないと理解できなさそうな内容なので、後者なのか。

 

 そしてこれは文化の違いなので仕方がないが、親近感を感じさせるために散りばめられているジョークがことごとく良く分からないのがかなりのマイナスポイント。ジョークにすらつまずいてしまって、読みやすそう、簡単そうという印象に追い打ちのダメージを与える結果となってしまっている。

 

 しかも巻末でこの本の用語などの解説をしたIT関連の日本人が、ジョークに爆笑してしまう箇所がいくつもあったとか言ってしまっているものだから、プログラミングをする人たちとはきっとわかり合えない深い溝があるのだな、と距離を感じてしまった。これを読んでプログラミングに親しみを覚えるどころか、その逆になってしまう人もいるかもしれない。

 

 

著者

アリ・アルモッサウィ

 

爆速! アルゴリズム: 毎日の生活がみるみるうちに変わる

爆速! アルゴリズム: 毎日の生活がみるみるうちに変わる

 

 

 

登場する作品

量子の海、ディラックの深淵――天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯

心の社会

The Art of Insight in Science and Engineering: Mastering Complexity (MIT Press) by Sanjoy Mahajan(2014-11-07)

メメント (字幕版)

エニグマ アラン・チューリング伝 上

A Handbook on Good Manners for Children: De Civilitate Morum Puerilium Libellus (English Edition)

種の起源(上) (光文社古典新訳文庫)

 「数学遊戯」 エドュアール・リュカ

「We done win」 ナイジェリアのポップソング

容疑者Xの献身 (文春文庫)

 

 

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