★★★★☆
あらすじ
ジョン・レノンからの手紙を43年後に受け取った歌手は、心を入れ替えて生きようと誓う。
フォーク歌手、スティーヴ・ティルストンに起きた実話をもとに創作された物語。アル・パチーノ、アネット・ベニング、ジェニファー・ガーナ―ら出演。107分。
感想
43年後とはいえ、ジョン・レノンが自分に手紙を書いてくれていたと知ったら嬉しいに決まっている。だが、それを当時読むことが出来ていたら、自分の人生はもっと違うものに変わっていたはず、と思ってしまうのも当然だろう。そんな思いから、今からでもちゃんとしようと決心する気持ちは分かる。
ただアル・パチーノ演じる主人公は、金に困らない程度には成功してしまっているから色々と難しい。周囲はそんな彼に満足している訳なので、それを変えようとするのはリスキーだ。だが憧れのジョンが言ったことを無視することはできない。
若い恋人と別れ、豪邸を出てホテルに移る。クスリを止めて新たな曲作りに励み、そして顔も見たことがなかった息子に会いに行く。やがてホテルの従業員や息子一家との間で温かな交流が生まれていく。
ただこれも彼が有名人で金があるからこそで、彼が変えたいと思っていた人生が築いたもののおかげではある。彼を毛嫌いしていた息子の心を開いたのも、彼のコネクションと大金だった。だがきっとこれは悪い事ではなくて、不満を抱えていたとしても、40年も一生懸命に生きてきたならどんな人生だろうと積み上げてきたものがあるはず、ということなのだろう。
主人公が、積み上げたものを活用してヒーローのような聖人のような男になって終わるのかと思いきや、途中でそれが揺らいでしまう。でもそれが彼の人間味を感じさせた。
しかし、あまりなじみのない新曲よりも昔のヒット曲を聞きたがる観客の気持ちは十分わかるが、歌手の気持ちになってみれば相当残酷な事だ。ただ、これはこれまで定期的に新曲を発表しなかった彼の人生の悪い部分が引き起こした結果でもある。だが観客の期待に応えよう、喜ばせようとする彼のサービス精神、彼の人の良さを表しているとも言えるのかもしれない。
完璧なハッピーエンドには程遠い、まだ何も起きていない状態で映画は終わるが、それなのになぜか明るい希望が持てるエンディングだ。いい余韻に浸れる。医者の一言だけで終わるラストも良くて、目頭が熱くなった。
劇中の要所要所でいいタイミングで流れるジョン・レノンを聴いていたら、人生で何度も訪れる、ジョン・レノンを集中的にしっかり聞きたいモードになってきた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ダン・フォーゲルマン
出演
アネット・ベニング/ジェニファー・ガーナー/ボビー・カナヴェイル/クリストファー・プラマー/メリッサ・ブノワ/ジョシュ・ペック/ニック・オファーマン
音楽 ライアン・アダムス/セオドア・シャピロ
