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「スカーフェイス」 1983

スカーフェイス (字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 キューバ難民としてアメリカにやってきた男は、強気な姿勢で犯罪組織のトップを目指す。

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感想

 キューバから難民としてやってきた男の成り上がりの人生が描かれる。永住権も居場所もなく、ゼロどころかマイナスからのスタートだったが、主人公は巡って来たチャンスを逃さず活かし、ビッグになっていく。その秘訣は、彼が強気の姿勢を保っていたことだろう。

 

 決して弱みは見せず、相手の言いなりにもならず、常に自分をアピールして力を見せつける。その姿勢はヒップホップの世界と相通じるものがあり、ラッパーたちが熱烈に支持するのも肯ける。

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 ただ、何も考えずいつも強気の姿勢を示していればいいわけではないのが難しいところだ。下手をすれば、ただの無鉄砲なバカとして早死にしていただろう。そうならないためにはしっかりと場の空気を読める頭の良さが必要になってくる。主人公は、そんな賢さを兼ね備えていた。むしろそれに裏打ちされた強気な態度だったとも言えるかもしれない。結局、運も含めた総合的な力がなければ天下など取れないということだろう。ボスの女にちょっかいを出すのには冷や冷やしたが。

 

 そして主人公はついにトップに君臨する。難民からの大出世ぶりは確かにすごい。だがトップに上り詰めてしまえば、あとはそれを維持するだけとなる。ギラギラしていた彼のモチベーションは行き場を失い、金と権力の維持に固執する傲慢で堕落した寂しいピエロのような独裁者へと変わっていく。

 

 

 この変わっていく様は見ていて切ないものがあった。大豪邸の豪華なバスルームで怒鳴り散らしているうちに、妻が去り友人が去って、いつの間にかぽつんとひとり主人公が取り残されてしまったシーンは、それを端的に象徴していた。

 

 彼はボスに殺されそうになった時とラストの破滅の時の二度ほど危機的な状況が訪れるのだが、そのどちらもわちゃわちゃとした状況の中で起こるのが興味深い。妹の問題やボスや警察との関係、取引先とのトラブルなど、いくつもの厄介ごとが重なって、主人公は冷静さを失ってしまった。意志力は消耗品なのだということを良く表している。

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 最後、主人公は華々しく散る。彼がトップに立てた理由がよく分かるような、凄まじいガッツを見せつけての閉幕だ。まさか一夜で転落してしまうとは思わなかったが、典型的な成功と挫折の物語となっている。不敵な演技を見せるアル・パチーノの存在感が際立っていて見応えがあり、堪能できた。

 

スタッフ/キャスト

監督 ブライアン・デ・パルマ

 

脚本 オリバー・ストーン

 

出演

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スティーヴン・バウアー/ミシェル・ファイファー/メアリー・エリザベス・マストラントニオ/ロバート・ロッジア/F・マーリー・エイブラハム/ハリス・ユーリン/マーク・マーゴリス/マイケル・オールドレッジ

 

音楽    ジョルジオ・モロダー

 

撮影    ジョン・A・アロンゾ

 

スカーフェイス (映画) - Wikipedia

 

 

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