★★★☆☆
あらすじ
1936年のアメリカ。住む家もなく、学費を払うのも困難な大学生は、ボート部に入れば住居を提供され、お金ももらえると聞きつけて、選抜試験に挑む。
事実を基にした作品。ジョージ・クルーニー監督。123分。
感想
困窮して金銭的な理由でボート部に入った大学生が主人公だ。それでも、親もおらず家もないのに大学に進学していたことがすごいが、大恐慌で人生を狂わされたということなのだろう。それまではそれなりにやれていた。
それからボート部に入るとお金がもらえるというのもよく分からなかったが、優遇される特待生みたいなものなのか。その他にも2軍の扱いだとか、いろいろと大学のボート部に関する仕組みは不明な点が多かった。
無事ボート部に入れた主人公は、生活が安定して部活に励むとともに、幼なじみとの恋愛やチームメイトとの友情、再会した父親との葛藤など、様々な経験を重ねていく。美しい映像で展開するそれらには、青春映画らしさが詰まっている。
ボートレースも見応えがある。単純にボートを漕ぐだけなのだが、舵手の必死な掛け声や漕ぎ手たちの苦しそうな表情、次第に距離を縮めるレース展開など、見ているだけで自然と力が入ってくる。何度か行われる試合の展開がほぼ同じだったのは少し気になったが、実話ベースなので仕方がない。それでも熱くなれた。
大学の二軍チーム扱いだった選手たちが勝利を重ね、やがてオリンピック代表となってナチスドイツを倒す。まさに王道のスポーツドラマだ。ただあまりにオーソドックスで意外性はないかもしれない。それに深みのあるドラマもあまりなく、ただ段取りとしてこなしているだけのような感もあった。
ナチスドイツを倒すことや黒人選手の言葉には強いメッセージ性が感じられたし、眠れぬコーチを誘う妻のシーンは洒落ていたしで、監督のジョージ・クルーニーらしさは随所に発揮されていたが、全体としては上品すぎる映画といった印象だ。暑苦しさがないのはいいが、物足りなさが残る。
スタッフ/キャスト
監督/製作
脚本 マーク・L・スミス
原作 ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち ボートに託した夢
出演 レイチェル・テナー/ジョエル・エドガートン/カラム・ターナー/ピーター・ギネス/ジャック・マルハーン/ジェームズ・ウォーク/ハドリー・ロビンソン/コートニー・ヘンゲラー/サム・ストライク/トーマス・エルムズ/ルーク・スラッテリー/ブルース・ハーベリン=アール/ウィル・コーバン/トーマス・ステファン・バリー/クリス・ディアマントポロス
