★★★★☆
あらすじ
マークしていた裏組織の取引現場が襲撃され、警察官を含む多数の犠牲者が出た事件を調べる警官は、かつて警察組織を追われた部下が関与していることに気付く。
ドニー・イェン、ニコラス・ツェーら出演。ベニー・チャン監督の遺作。126分。
感想
正義感の強い警官の主人公と、警察組織に裏切られ、復讐を誓う後輩の元警官との熱い戦いを描く物語だ。警察内の軍隊ぽいやり取りや、コンプライアンス無視の荒っぽい捜査に若干引きながらも引き込まれる。ついでに言うと主人公らのぴっちりとした衣装も少し気になる。
最初は敵となる元警官らが何をしたいのかがよく分からなかったが、過去の出来事が明らかにされることでその意図が見えてくる。被害者のため、警察のために懸命に働いたのに、ことごとく裏切られてしまった。確かにやり過ぎだったし、酷いことをされたからと言って自分たちも酷いことをしていいわけではないのだが、気持ちはよく分かる。
ハードボイルドな雰囲気の中、テンポよく次から次へと物語は進行していく。プロットにも納得感がある。手に汗握る展開がノンストップで続き、「男たちの挽歌」や「インファナル・アフェア」といった香港ノワールの系譜を感じさせる。
そしてアクションシーンも圧巻だ。カーアクションやガンアクションに加えて、主演のドニー・イェンのキレのある動きが光る。ニコラス・ツェー演じる敵の無慈悲な非情ぶりも強烈だ。中でも一般人を巻き込みながら戦うクライマックスはリアリティがあって、見応え十分だった。二人の一騎打ちがナイフで始まるのも意外性がある。
二人の戦いに、各登場人物のプライドや、警官の悲哀が垣間見えるシーンなどを織り交ぜつつ描かれる白熱したシーンの連続にヘトヘトになりながらも、見終わった後の満足度はかなり高い。心地よい余韻に浸れる映画だ。
スタッフ/キャスト
監督/製作 ベニー・チャン
製作/出演 ドニー・イェン
出演 ニコラス・ツェー/チン・ラン/ベン・ラム/パトリック・タム/カルロス・チャン/サイモン・ヤム/レイ・ロイ/ベン・ラム/ジャーマン・チョン/ユー・カン
音楽 ニコラス・エレラ
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