★★☆☆☆
あらすじ
仕事に復帰するも情に流されて任務に失敗し、不適格者として島に監禁されてしまったCIAの男。
感想
単純明快な痛快アクション映画かと思っていたら、不適格と判断したCIAエージェントらを孤島に集め、特別な仕事をさせるというような、思っていたよりも凝った設定の映画だった。
ところで孤島に送られる直前に、主演のジャン=クロード・ヴァン・ダムの顔のアップが続くシーンがあるのだが、鼻の穴の両方から見事に1本ずつ鼻毛が出ていたのがとても気になってしまった。アップで撮ることが分かっていたわけだからケアしておかなかったのか?とか、誰も気付かなかったのか?とか色々不思議だった。でももしかしたら本人はそういうことは気にしない、なんなら男らしさの象徴ぐらいに思っているのかもしれない。
女性がムダ毛を処理しないのが普通の国もあったりするわけだから、あり得る話だ。価値観は一つじゃないし、場所が違えば常識も変わる。つまり世界は広いということか…などと鼻毛ひとつで壮大に思いを馳せてしまったが、単純なうっかりミスの可能性だって勿論ある。
孤島から脱出したり、追手から逃れつつ妻に会いに行ったりと、プロット自体はなかなか面白い。だが前振りがほぼないので、思っているほどは楽しくない。孤島を脱出しようとしていることを事前にしっかりと教えてくれていれば、準備段階ではどんな作戦なのだろうとドキドキし、決行時にはうまくいくだろうかとハラハラできたのだろうが、この映画は主人公が何をしようとしているのか、全然教えてくれない。
おかげで、まず最初にこれは脱出の準備をしているのだろうか?と半信半疑になり、いざ実行すればやっぱり予想通りだったなと安堵するだけの、落ち着かない状態で見ることになってしまった。とても主人公の活躍にワクワクするような余裕はない。すべてがそんな調子で、まったく感情移入が出来なかった。
それからデニス・ロッドマン演じる武器商人が、なぜリスクを冒してまで主人公に全面的に協力する気になったのかも全然分からない。ただの客と店主の関係から発展するような描写は特になかったので、まったく腑に落ちなかった。強いて言えば、デニス・ロッドマンが準主役で活躍することになっていたから、と予想できるくらいか。しかも彼の役は、無理やりタッグを組ませるほど魅力的なキャラクターでもなかった。
肝心のアクションは、ヴァン・ダムの動きにキレがあり、敵役のミッキー・ロークの想像以上に仕上がっている肉体にも驚かされて、まずまずの出来だ。ただ何かというとすぐに爆破シーンとなるのが気に食わなかった。あまりにもワンパターンで次第に呆れてきた。
クライマックスのスタジアムのシーンでも、グラウンドにわざわざ地雷をいくつも埋める意味がよく分からなかったし、それで決着がついてしまったのにも不満を感じた。ラスボスぐらいは、ちゃんとがっぷり四つに組んで王道の倒し方をして欲しかった。
スタッフ/キャスト
監督 ツイ・ハーク
出演 ジャン=クロード・ヴァン・ダム/デニス・ロッドマン/ミッキー・ローク/ポール・フリーマン
撮影 ピーター・パウ