★★★☆☆
あらすじ
全国の子供たちを連れ去ろうとするキングギドラが現れ、それを阻止するためにモスラが現れる。平成モスラシリーズ第3作目。
感想
子供たちをさらうキングギドラが現れ、対抗するために呼ばれてやって来るモスラ。それにしても、小美人の姉妹に気軽に呼ばれてノコノコとやって来るモスラは腰が軽い。きっと交友関係は広いはず。
しかし全くキングギドラに歯が立たないモスラ。勝てないと判断したモスラは、今決着をつけるのではなく、過去にタイムスリップし、まだ十分に成長していないキングギドラを倒すことを決意する。でもよく考えるとこれはかなりのチート技だ。それが出来るのなら、なぜ今までやらなかったのか、と言いたくなる。もっと言えば、キングギドラがまだ生まれる前の卵の状態の時に戻ればいいのに。
とはいえ、戻った恐竜の時代の映像はなかなか良かった。あちこちで火山が噴火する不穏な空気の中、恐竜たちが弱肉強食の世界を繰り広げ、そこにさらに強いキングギドラが現れて暴れまわっている所に、モスラがやって来る。若干ぎこちない動きの恐竜など、特撮感が溢れる映像でとても雰囲気がある。ティラノサウルスの前脚の、心もとなさが気になったが。
そして黄金に光り輝くキングギドラは、いかにもソフビ人形感のある顔が気に食わないが、なんだか拝みたくなるようなありがたみがある。仏像ぽくて、奈良時代とかに現れていたら、庶民に崇め奉られていそうだ。そして3つの首が動く上半身の映像はかっこいいのに、全身が映ると途端にアンバランス感がでてしまうギャップもいい。特に歩く姿は、下半身太りしたおばちゃんが向かってくるようなおかしみがある。不格好なのだがどこかセクシー。
モスラがいない現代では、キングギドラが各地を破壊し暴れまわっているのだが、いまいち盛り上がらないのは、やられっぱなしだからだろう。自衛隊などが対抗して戦う様子はない。子供向け映画なので、そんな事をしてしまうと子供の出番がなくなってしまうからなのだろうが、よく考えるとこれは逆にリアリティがあるのかもしれない。今のコロナに対する政府の姿勢はこんな感じだ。できるだけ敵の存在を矮小化して積極的に関わろうとしないし、国会で喧々諤々の議論をするでもない。じっと嵐が過ぎるのを待っている。
原始の時代のキングギドラとモスラの戦いは迫力があり、見ごたえがあった。こんな風に人間を絡ませようとせず、怪獣だけの世界で普通に戦った方が意外と良いのかもしれない。不穏でダークな世界での激闘。
勝負ありで決着がついたと思っていたら、最後にどんでん返しが待っていた。タイムスリップしたモスラは戻って来れないという設定なのだが、そのまま一億三千年を過ごして現代に戻ってくるというストーリーはなかなか良かった。タイムスリップもので、原始時代に行ったら戻れない、と言われると絶望感があるが、それはあくまでも人間の感覚で見ているからなのだなと思い知らされる。モスラの時間感覚では、人間で言うと10年前に戻るような感覚だったのかもしれない。
そして再び現代に現れたモスラは強すぎた。逆にヒール感が出てくるほど圧倒的で、もう少しバランス考えたらと思わなくもなかったが、爽快感があったのも確か。シリーズ最後だし、これはこれでいいのかもしれない。
スタッフ/キャスト
監督 米田興弘
出演 小林恵/建みさと/羽野晶紀/吉澤拓真/篠崎杏兵/鈴木彩野/松田美由紀/大仁田厚/並樹史朗/上田耕一/(声) 山口紗弥加
モスラ3 キングギドラ来襲 | 映画 | 無料動画GYAO!
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