★★☆☆☆
あらすじ
弟子の診療所を訪ねるため、開拓時代のアメリカにやって来た武術家ウォン・フェイホンは、町での争いに巻き込まれていく。
ジェット―・リー主演、サモ・ハン・キンポー監督。シリーズ第6作目。香港映画。99分。
感想
アメリカの開拓時代にやって来た武術家ウォン・フェイホンの物語だ。侍とウエスタンを組み合わせるみたいなありがちな発想で、カンフーとウエスタンを組み合わせている。
序盤は主人公が記憶喪失となり、ネイティブアメリカンに助けられ、共に過ごす様子が描かれる。最初は部外者として差別的な扱いを受けるが、武術と医術で認められ、次第に溶け込んでいく。まるで「ダンス・ウィズ・ウルブズ」みたいだ。また徐々に記憶も取り戻していく。
主人公の記憶が回復して皆の元に戻った後半は、同胞と共に町長の陰謀に巻き込まれていく展開となる。ただなぜ中国人が標的になったのかは不明だし、町長は途中で殺されるし、強盗団は乱入するしで、話の方向性がフラフラとしている。前半とのつながりもないので、映画としてのまとまりに欠ける。
最終的には強盗団のリーダーとの決闘になるのだが、彼とは別に大した因縁もないので、あまり気分は盛り上がらない。ただこの男は面白い顔のインパクトのあるキャラクターだったので、丁寧にエピソードを積み重ねていれば、印象に残るクライマックスになったような気はする。
肝心のアクションは、西部劇との融合という意味では成功しているとはいい難く、特別な面白さを作り出せていなかった。中盤の主人公と弟子のシンプルなカンフー対決の方が、断然見応えがあったくらいだ。変な色気を出さずに普通にやればいいのだが、シリーズも6作目となると、色々とやりたくなってしまうのだろう。
それから主人公ら中国人が、白人にもネイティブアメリカンにも差別されているのが地味にこたえるが、最後に作られたチャイナタウンがやがて大きくなれば、そこにやってきた部外者を中国人たちも差別するようになるのだろうなと容易に想像できてしまう。同類が集まれば排他的になる。移民の集まりであるアメリカが今、排外主義に陥っているように、どんな時でもオープンマインドでいるのは難しい。
スタッフ/キャスト
監督 サモ・ハン・キンポー
脚本 シトー・ヒーフォン/ソー・マンシン/クォク・ワイチャン/シー・メイイー/シャロン・ホイ
製作 ツイ・ハーク
出演 ジェット・リー/ロザムンド・クワン/ホン・ヤンヤン/チャン・クォクボン/ジェフ・ウルフ/リチャード・ン
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ - Wikipedia
登場する人物
ウォン・フェイホン
関連する作品
前作 シリーズ第5作
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ V/天地撃攘」