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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「利休」 1989

利休

★★★★☆

 

あらすじ

 織田信長に引き続き豊臣秀吉の側近となった茶人・千利休だったが、次第に秀吉との間に溝が生じ始める。135分。

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感想

 千利休と豊臣秀吉の変化していく関係を描いた物語だ。まず衣装や茶室のセット、小道具などが見事でそれだけで見ごたえがある。なんでもわざわざ美術館から借りてきた本物の茶器などを使って撮影したらしい。

 

 まだ信長が存命で、秀吉が天下人になる前から物語は始まる。最初から利休は秀吉を「こいつセンスねーな」と呆れ、秀吉は利休を「こいつすごいな」と感心している。だが両者ともそれを胸の内にしまったままで、はっきりと口に出すことはない。この互いに対する秘めた感情が、両者の存在が大きくなるにつれ、深い溝を生んでいくことになる。

 

 利休が、茶人としては評価していない秀吉に対して如才なく仕える様子は興味深い。何を言われても自らはへりくだり、常に秀吉を持ち上げる。媚びているだけと言えなくもないのだが、もはや些末なことは気にしない悟りを開いた人にも見える。

 

 

 自説を曲げずに秀吉の怒りを買った弟子の山上宗二に対し、秀吉に命令されて嫌々作った黄金の茶室も出来上がってみれば案外悪くなかったと述べていたのは象徴的だった。なんでもやってみれば得られるものがあるかもしれないと達観していたのだろう。ある意味で、疎ましくなるほどの利休の才能を大きく花開かせたのは、センスのない秀吉自身だったのかもしれない。彼の無理難題が利休を成長させた。

 

 天下人と茶の湯の神として強大な権力を持つようになった二人は、周囲の様々な思惑もあって対立するようになっていく。それが決定的となる二人きりでの最後の茶室のシーンは迫力があった。演じる三國連太郎と山崎努の息詰まるような迫真の演技には魅せられる。当初からあった互いに対する感情が隠し切れなくなり、もはや共存は不可能であると確信していく。

怪物と呼ばれて

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 最終的には譲れないものを譲らなかった利休は自刃に追い込まれるが、ただ頑なだったのではなく、その前の家康と対面した際には心の揺らぎを見せている。彼も出来ることなら死にたくはなかったのだろう。人間らしさが垣間見える瞬間だった。

 

 切腹を申し付けた後の秀吉の一人ごちる姿も心に残る。そんな命令をしておきながらも彼の心には敗北感があったのかもしれない。深い余韻に浸れる見ごたえのある映画だ。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演* 勅使河原宏

*カメオ出演

 

脚本 赤瀬川原平

 

原作 秀吉と利休 (中公文庫)

 

出演 三國連太郎/山﨑努/三田佳子/岸田今日子/北林谷栄/松本幸四郎/中村吉右衛門/田村亮/坂東八十助/中村橋之助/財津一郎/観世栄夫/江波杏子/元永定正*/飯田善國*/堂本尚郎*/熊倉功夫*/中村獅童/細川護煕*/織本順吉/ドナルド・リチー/井川比佐志

*カメオ出演

 

音楽 武満徹

 

利休

利休

  • 三國連太郎
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利休 (映画) - Wikipedia

 

 

登場する人物

千利休/織田信長/徳川家康/大納言秀長(豊臣秀長)/北政所(高台院)/大政所/茶々/ 石田三成/古田織部/細川忠興/古渓和尚(蒲庵古渓)/長谷川等伯/正親町天皇/誠仁親王/和仁親王(後陽成天皇)/織田有楽(織田長益)/松井友閑/富田知信(富田一白)/高山右近/今井宗久/長次郎/前田玄以/津田宗及/フロイス/山上宗二/豊臣秀吉 

 

 

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