★★★★☆
あらすじ
秀吉に切腹を命じられた千利休。茶人として美を追求した彼のその根源を振り返る。
感想
これを読むまでこの頃の武将たちがなぜ茶道に熱狂していたのか、今いち理解できずにいたが、何となくわかったような気がした。茶を飲む事自体は心を落ち着かせるものだが、さらに、コミュニケーションの場でもあり、人脈を作る場でもある。名器と呼ばれる茶道具を持つことはステイタスでもあり、それらをどう配置するかでセンスも問われる。
現代でいえばゴルフみたいなものか。もしかしたらインスタグラムのようなSNSに熱中するのも同じようなものかもしれない。いいね、されるために自撮り棒だののスマホグッズを揃えたり、写真映りのいい食べ物やグッズを探し求めたりするわけだから。
そう考えると、そんな茶の世界で頂点に立つ千利休が、なぜ大きな影響力を持っていたのかも理解できる。読み進めると、そもそも彼が何故頂点に立てたのか、何が彼を衝き動かしていたのか、その理由が徐々に明らかになっていく。
どことなくクリストファー・ノーランの「メメント」を思い出させるような展開で、謎が解き明かされていく過程に、ページをめくる手が止まらなかった。
著者
山本兼一
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