BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」 2023

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース

★★★★☆

 

あらすじ

 スパイダーウーマンと再会したスパイダーマンは、マルチバースを行き来する彼女の後をつけ、別次元を訪れる。

www.youtube.com

 

 シリーズ第2作目。140分。

 

感想

 主人公がスパイダーウーマンを追って別次元に行ったことから始まる物語だ。別次元の出来事に介入してマルチバースの秩序が乱れてしまうことをを阻止する、タイムトラベル物の時空警察みたいな存在、スパイダー・ソサエティが登場する。「スパイダーマン」が映画だけでも何度もリブートし、なんとなくストーリーの型のようなものが出来上がっていることをうまく利用した設定だ。

 

 そして、マルチバースのスパイダーマンたちが集うスパイダー・ソサエティのシーンは圧巻だった。人種や出身国だけでなく、生き物の種類まで異なる多種多様なスパイダーマンたちがたくさん登場する。画面一杯に溢れる個性豊かなスパイダーマンたちを、一人ずつ詳細に見ていきたくなるような楽しさがあった。

 

 

 その一方で、急にヒーローのありがたみがなくなったような感覚もある。毎回並んで足繁く通っていた珍しいファーストフード店が、海外に行ったらどこにでもあるチェーン店だったみたいなものだろうか。彼らは各次元に戻れば唯一無二の存在かも知れないが、全員がスパイダーマンのこの場所では普通の存在だ。

 

 そんなありきたり感を醸し出した上で、何よりもマルチバースの秩序を守ることが大事だと、彼らに公務員みたいな主張をさせるところが巧みだ。不正して裏金を作っている人がいたなら起訴して正義を行使することが当然のはずなのに、その人が有力者で、見逃がせば出世させてやると言われたからと、見逃してしまう特捜部みたいなものだ。そこには欺瞞がある。

 

 主人公が、マルチバースの秩序なんかより目の前の人を助けるのがヒーローだろうと怒るのも分かる。夢と希望に溢れた少年が親から独立して広い世界に出るも、しがらみと思惑にまみれた大人のルールに阻まれ、葛藤する物語だ。

 

 ヴィランとの戦いに終始し、ワンパターンになってしまいがちなスーパーヒーロー映画に新たな要素が加えられて、先の読めない展開となっている。前作と同様に音楽も良く、アニメならではの表現を取り入れたアイデア溢れる映像にはエモさがあって、総合的に楽しめた。

 

 続編がある前提の、絶体絶命のいい所で終わる感じが「スターウォーズ」の最初の三部作ぽく、別の次元にいる家族に会ったり未来を変えようとするところは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の変形ぽくもあって、満足度が高く、次作への期待が嫌でも高まってしまう映画だった。

 

 

スタッフ/キャスト

監督 ホアキン・ドス・サントス/ケンプ・パワーズ/ジャスティン・K・トンプソン

 

脚本/製作 フィル・ロード/クリス・ミラー

 

原作 スパイダーバース (MARVEL)

 

出演(声) シャメイク・ムーア/ヘイリー・スタインフェルド/ブライアン・タイリー・ヘンリー/ルナ・ローレン・ベレス/ジェイク・ジョンソン/ジェイソン・シュワルツマン/イッサ・レイ/カラン・ソーニ/シェー・ウィガム/グレタ・リー/ダニエル・カルーヤ/マハーシャラ・アリ/オスカー・アイザック/アマンドラ・ステンバーグ/アンディ・サムバーグ/ヨーマ・タコンヌ/ピーター・ソーン/ジャック・クエイド/エリザベス・パーキンス/タラン・キラム/ジョシュ・キートン/ユーリ・ローエンタール/メトロ・ブーミン/J・K・シモンズ/キミコ・グレン/キャスリン・ハーン***/アルフレッド・モリーナ***/ドナルド・グローヴァー* **/アンドリュー・ガーフィールド**/トビー・マグワイア**

*アーカイブ音声 **実写出演 ***アーカイブ映像

 

音楽 ダニエル・ペンバートン

 

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース - Wikipedia

 

 

関連する作品

前作

bookcites.hatenadiary.com

 

次作

「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com