★★★★☆
あらすじ
サンタに疑いを持つようになった少年は、クリスマスの夜、家の前にやって来た不思議な機関車に乗り込む。
感想
クリスマスを題材にしたCGアニメ映画だ。登場人物たちの造形は本物の人間のようなリアルさを追求しているが、当時の技術の限界を感じるような中途半端なリアルさに留まってしまっている。じっくり見るとなんだか怖さがあり、いわゆる「不気味の谷」を感じてしまう。「バイオハザード」のような昔のテレビゲームのムービーシーンを思い出してしまった。
せっかくのCGなのだから、もっと戯画化したキャラクターにして欲しかった。本当は実写でやりたかった、という作り手の強い思いの表れなのかもしれないが。見ているうちに段々と慣れてはくるのだが、ふと我に返って「やっぱり気持ち悪いな」と思ってしまう瞬間が何度もあった。
成長してサンタを信じられなくなった主人公の少年が、北極点に向かう機関車に乗り込み、失いかけていた純粋な心を取り戻す物語だ。ファンタジーのワクワク感や冒険のドキドキ感が詰め込まれていて、子供が夢中になりそうな映画に仕上がっている。ジェットコースターみたいになったり、レールを外れて氷の上をふらつきながら走ったりと、機関車を使ったアクションも見応えがあった。
そんな愉快な列車旅がずっと続くのかと思っていたのだが、案外と早く目的地に到着してしまう。このままもっと見ていたかったなと、少し残念だった。だが下車後の、サンタの拠点での主人公たちの探検も、これはこれで面白かった。サンタたちが普段どんな活動をして、どのようにクリスマスの準備をしているのかが分かるようになっている。こうやってプレゼントは自分の所に届くのだなとテンションが上がる仕掛けだ。工場見学みたいなものだ。
不気味の谷さえ乗り越えられれば、子供だけでなく大人もちゃんと楽しめる清く正しいクリスマス映画だ。この機関車が来るのを待って、子供がいつまでたっても寝ようとしなくなる恐れはあるが。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ロバート・ゼメキス
製作総指揮/出演(声) トム・ハンクス
出演(声) ジョシュ・ハッチャーソン/ノーナ・ゲイ/マイケル・ジェッター/チャールズ・フライシャー
音楽 アラン・シルヴェストリ