★★★★☆
あらすじ
世間に正体がバレてしまったスパイダーマンは、ドクター・ストレンジに依頼して皆の記憶を消そうとするが失敗し、並行世界にいたヴィランたちを呼び寄せてしまう。
シリーズ第三作目で、「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の第27作目。
感想
今回はこのシリーズだけでなく、トビー・マグワイア版、アンドリュー・ガーフィールド版を含めたすべてのスパイダーマン映画の総決算みたいな内容になっている。色々と制約がありそうなのに、こんな夢のような映画が実現したことに興奮する。
まずはマルチバースから呼び込んでしまったという設定で、別シリーズで登場したヴィランたちが再登場する。初代スパイダーマンを見たのはずいぶんと昔なので内容はほぼ忘れていたが、ヴィランを見たらちゃんと思い出してくるから不思議なものだ。そして当時のキャストが今回も演じているのがすごい。現在のスパイダーマンが彼らと普通に戦うだけでもワクワクしそうだが、そうではなく、彼らから悪を取り除こうとするのが現代的だ。贖罪もヒーローの務めということなのかもしれない。
そして過去のシリーズのヴィランに続き、スパイダーマンたちも登場する。この盛り上げ方は素晴らしかった。トビー・マグワイアにやつれた感があったが、彼が演じていた頃からはもう20年も経っているので当たり前か。彼らがそれぞれの経験を活かしながら協力し合い、ヴィランたちと対峙する。アンドリュー・ガーフィールド版の世界では恋人を救えなかったスパイダーマンが、この世界では恋人の救出に成功するシーンには涙ぐんでしまった。ちゃんとこれまでの物語が伏線となっている。
それからクライマックス直前の嵐の前の静けさが漂う中で、三人のスパイダーマンがそれぞれの共通点や差異を確認しながら雑談するシーンは微笑ましかった。まるでどのスパイダーマンシリーズが好きかを語り合うファンを見ているかのようで、あたたかな気持ちになる。特に初代スパイダーマンだけが道具を使わずに蜘蛛の糸を出せることに他が驚き、イジっていたのは可笑しかった。これは自分も気になっていたので、ちゃんと言及してくれてなんか嬉しかった。
スパイダーマン全員集合のお祭り的な雰囲気だけでやり過ごすのではなく、そんな中でも悲劇があり、主人公が友情や愛情を確かめ合うシーンがあって、最後はしっとりとまとめ上げ、ちゃんと一つの物語として成立させているのには感心する。
正直なところ、このシリーズ以外はイマイチな作品が多かったスパイダーマンだったが、それでもちゃんと全部見てきて良かったと思わせてくれる映画だった。イマイチだった過去作すら、もう一回見ようかなという気持ちにさせてくれる。
スタッフ/キャスト
監督 ジョン・ワッツ
出演 トム・ホランド/ゼンデイヤ/ベネディクト・カンバーバッチ/ジェイコブ・バタロン/ジョン・ファヴロー/ウィレム・デフォー/アルフレッド・モリーナ/トーマス・ヘイデン・チャーチ/リス・エヴァンス/ベネディクト・ウォン/トニー・レヴォロリ/マリサ・トメイ/J・K・シモンズ/アンドリュー・ガーフィールド/トビー・マグワイア/*トム・ハーディ/アンガーリー・ライス/マーティン・スター/チャーリー・コックス
*クレジットなし
スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム - Wikipedia
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