★★★★☆
あらすじ
ひょんなことからスパイダーマンと同じ能力を身につけてしまった高校生は、大けがを負って死ぬ直前のスパイダーマンに異次元への扉を閉じるよう頼まれる。
アカデミー賞長編アニメ映画賞。
感想
スパイダーマンの遺志を継ぐことになった高校生が主人公だ。彼のファッションやライフスタイルからしてそうだが、映像の色彩や使われている音楽などにもストリート感が溢れていて、眺めているだけでも気持ちが良い世界観となっている。
主人公の他に並行世界のスパイダーマンたちが次々と現れる設定なのも面白い。なんだか最近はマルチヴァースは普通、みたいな扱いになってきている感があるが、何がきっかけだったのだろうか?このスパイダーマンシリーズ?もはやタイムマシーンと同じで説明不要のSF設定となっている。
主人公と共闘するスパイダーマンたちは、中年でやさぐれていたり、女性だったり、カートゥーンキャラだったり、日系人だったりと多種多様だ。映画冒頭の導入部分でよくあるキャラクターを簡単に説明するシーンがそのまま実は伏線で、その後、何度も繰り返されるネタとなっていたのは小粋な演出だった。
能力を身につけたばかりの主人公は、その能力を使いこなせず、どちらかというと振り回されている。それに例の、ヒーローとしての心構えも出来ていない。自身の変化に対応できず、他のスパイダーマンにフォローされてばかりの展開が続く。だが、行動を共にする仲間たちの姿を見て、主人公は学び、成長していく。このあたりは思春期の少年少女のメタファーでもあるだろう。
そして、主人公が心身ともにスパイーダーマンとして覚醒するクライマックスの戦いは見ごたえがあった。それまでの主人公がぎこちなく不甲斐なかっただけに、そのカタルシスは格別だ。アニメでしかできないような表現が散りばめられており、映像的にも迫力があり楽しめる。
振り返ってみるとスーパーヒーロー映画の定番の流れなのだが、それをまったく感じさせない演出で、ダレることなく時間を忘れて堪能できた。
スタッフ/キャスト
監督 ボブ・ペルシケッティ/ピーター・ラムジー
監督/脚本 ロドニー・ロスマン
脚本/製作 フィル・ロード
製作 アヴィ・アラッド/クリストファー・ミラー/エイミー・パスカル/クリスティーナ・スタインバーグ
製作総指揮 ウィル・アレグラ/ブライアン・マイケル・ベンディス/スタン・リー
出演 シャメイク・ムーア/ジェイク・ジョンソン/ヘイリー・スタインフェルド/マハーシャラ・アリ/ブライアン・タイリー・ヘンリー/リリー・トムリン/ルナ・ローレン・ベレス/ジョン・ムレイニー/キミコ・グレン/ニコラス・ケイジ/クリス・パイン/ゾーイ・クラヴィッツ/キャスリン・ハーン/ヨーマ・タコンヌ/ホアキン・コシオ/レイク・ベル/ナタリー・モラレス/リーヴ・シュレイバー/オスカー・アイザック
音楽 ダニエル・ペンバートン
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