★★★☆☆
あらすじ
ニューヨークの治安を守り続けるスパイダーマンだったが、旧友と事故で電気人間エレクトロになってしまった男の恨みを買ってしまう。
感想
高校を卒業したばかりの不確かな未来の中で、恋人との関係に悩む若者としての姿も見せつつ、スパイダーマンの活躍が描かれていく。前作で気になった主人公がマスクを脱ぎたがる傾向が今回はなくなっていたので安心した。
今回の敵は、主人公の古い友人で巨大企業のトップに立つ男と、事故で電気人間(エレクトロ)になってしまった男の二人だ。旧友は自身の不治の病を治すための協力を断られたことから、エレクトロは信用していたのに裏切られたと誤解したことから、スパイダーマンに恨みを持つようになった。ごく私的な怨恨ではあるが、彼らにはちゃんとしたモチベーションがある。
だが一方のスパイダーマンには明確な動機がない。相手が襲い掛かってくるからそれに応戦しているだけだ。いつもの市民を守るために戦っている時よりも熱意が低いような気さえしてしまい、見ている方としてもさしてこの戦いにテンションが上がらないところがあった。どうしても敵を倒さなければならないと強く思うような理由がスパイダーマンにも欲しかった。
それに敵にしても、不治の病で死にたくないという旧友の強い気持ちは理解できるし、エレクトロの、本当は良い奴なのだが強大な力を持ってしまったがための悲しきモンスター感も伝わってきて、同情してしまう点があった。両者とも絶対に倒さなければならない悪、という感じでもなくなってしまっている。戦うよりもお互いにちゃんと話し合って誤解を解くだけでいいのに、と思ってしまうような相手だった。
ラストで、スパイダーマンの戦いがこれからも続くことを示すために現れた敵は、なんのために暴れているのかよく分からなくて、正義や悪を描くのは簡単そうに見えて案外難しいものだなと実感した。この敵の暴れたいから暴れるという行動原理は、悪というよりも欲望で、結果的に悪と判断されているにすぎない。そう考えるとスパイダーマンだって結果的には正義と見なされているが、彼を突き動かしているのは同じく欲望だ。正義も悪も実はそんなに違いは無かったりする。
スタッフ/キャスト
監督 マーク・ウェブ
脚本 アレックス・カーツマン/ロベルト・オーチー/ジェフ・ピンクナー
原案 ジェームズ・ヴァンダービルト
出演 アンドリュー・ガーフィールド/エマ・ストーン
デイン・デハーン/コルム・フィオール/フェリシティ・ジョーンズ/ポール・ジアマッティ/サリー・フィールド/キャンベル・スコット/エンベス・デイヴィッツ/マートン・チョーカシュ/マックス・チャールズ/B・J・ノヴァク/マイケル・マッシー/*クリス・クーパー/*デニス・リアリー/**スタン・リー
*クレジットなし **カメオ出演
音楽 ハンス・ジマー/The Magnificent Six
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