★★★☆☆
あらすじ
弟が生まれたことによって両親との幸せな日々が崩れてしまったことに不満を募らせる少年は、ある日弟の秘密を知ってしまう。
感想
弟が生まれて両親を独占できなくなり、孤独を感じる少年が主人公だ。その弟が実はある仕事をするために派遣された会社員で、任務を終えればいなくなることが分かる。弟のことを疎ましく思っていた主人公は、彼に喜んで協力するようになる。いなくなって欲しいから弟に優しくする、というのはグロテスクだが、それがきっかけで弟に対する愛情が育まれていく。よくできた物語だ。
ただ、子供自身は弟に嫉妬しているなどと自覚しないだろうから、本来のターゲットである彼らは楽しめるのだろうかと少し心配になってしまった。だがよく考えれば、まだ狭い世界しか知らない彼らにとって、最大の関心事は家族のことで、そのメンバーに秘密があればワクワクするだろうし、スーツを着た大人たちが何やらやっている会社はミステリアスで興味津々な存在だろうから、十分に惹きつけられるのかもしれない。
会社の真似事をして見せたり、子供らしいドタバタを繰り広げたりしながらコミカルに物語は展開していく。ただ、それなりに広い世界を知ってしまった大人としては、そんなに笑えるシーンはなかった。まさに子供向け映画を見ている時みたいに、真顔になっていた。中には突然傍若無人な挙動に出るような赤ちゃんあるあるネタもあるので、育児経験があれば大人でも笑えるのかもしれない。
唯一面白かったのは、空港でエルヴィス・プレスリーが大量に現れるシーンだ。今どきプレスリーなんて通じるの?と思ってしまうが、ラスベガスといえばプレスリー、はアメリカでは常識になっているのかもしれない。プレスリー気取りの男たちが溢れる空間はとてもシュールで可笑しかった。
ラストは想定通りの展開でエンディングを迎える。安定感のある王道の結末だ。子供向け映画としては悪くない。
スタッフ/キャスト
監督 トム・マクグラス
出演 アレック・ボールドウィン/スティーヴ・ブシェミ/ジミー・キンメル/リサ・クドロー/マイルズ・バクシ/トビー・マグワイア
音楽 ハンス・ジマー/スティーヴ・マッツァーロ
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