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「ウォール・ストリート」 2010

ウォール・ストリート (字幕版)

★★★☆☆

 

あらすじ

 勤務する証券会社を破綻させ、恩人である社長を自殺に追い込んだのがライバル会社の仕業であることを知った青年は、恋人の父親であるかつてのウォール街の大物とコンタクトを取る。

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 1987年の映画「ウォール街」の続編。原題は「Wall Street: Money Never Sleeps」。127分。

 

感想

 冒頭で前作のヒール、マイケルダグラス演じるウォール街の元大物が登場するシーンはテンションが上がる。だがその後は、シャイア・ラブーフ演じる若い証券マンである主人公がメインとなって進行する。

 

 ちなみにチャーリー・シーン演じる前作の主人公も映画の中盤で一瞬登場し、これまたテンションが上がる。

 

 

 序盤は色々と分かりにくい部分が多い。主人公のバックグラウンドが分からず、証券マンとしてどのくらいの能力なのか分からないし、なぜ社長とそこまで懇意なのかも分からない。主人公の恋人も、元大物の父親を嫌い金融界も嫌っているはずなのに、なぜ証券マンの主人公と付き合っているのかも分からない。

 

 そして事件の発端となる、主人公が勤務する証券会社が危機に陥った経緯もよく分からなかった。これは見る側の金融知識の問題もあるのだろうが、2008年の設定なので、さっそくリーマンショックが始まったのかと思ってしまった。

 

 主人公は、この出来事を仕掛けたライバル会社の経営者に復讐を誓う。そして恋人の父親である元大物とコンタクトを取る。前作では欲望でギラギラとしていたこの元大物も、逮捕と長期の懲役を経てアクの強さは薄まっており、今作ではよきアドバイザーのような立ち位置になっている。

 

 しかし主人公の復讐物語はいまいち盛り上がらない。予定外のリーマンショックが起きたせいもあるし、主人公が到底敵わないくらい相手は用意周到に防御策を用意していたせいもある。バブルを何度も経験して、彼らの対策はより強固になっている。

 

 これは単なる復讐物語ではなく、どんなことをしても生き残ろうとする人類のしたたかさ、深化する欲望を描こうとしているからなのだろう。「モラル・ハザード」という言葉が何度も出てくる。

 

 それから元大物と違い、今回のヒールにはあまりガツガツとした欲望が見られなかったのも印象的だ。主人公にも金融界でのし上がろうとする分かりやすい野望は見られないし、クリーンエネルギーの開発に夢中になっている別の顔もある。時代と共に人類の欲望の表し方も変化し、よりスマートに振る舞うように進化しているのかもしれない。

 

 悟りを開いたようだった元大物が途中で豹変し、急にサスペンス感あふれる展開になったのは面白かったが、丸く収まってしまうラストには物足りなさが残った。強欲な人間だっていろんな経験をすればさすがに人生の真理に気付くだろうということなのかもしれないが、それでも欲望は止まらない止められない、として欲しかったような気もする。

 

スタッフ/キャスト

監督/出演    オリバー・ストーン

 

出演 マイケル・ダグラス/シャイア・ラブーフ/ジョシュ・ブローリン/キャリー・マリガン/イーライ・ウォラック/スーザン・サランドン/フランク・ランジェラ/オースティン・ペンドルトン/ヴァネッサ・フェルリト/チャーリー・シーン*

*カメオ出演

 

ウォール・ストリート (映画) - Wikipedia

 

 

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