★★★★☆
あらすじ
劇場運営が軌道に乗った主人公は、キャストを引き連れ、ショービジネスの聖地への進出を目論む。
「SING/シング」の続編。
感想
前作のキャラクターたちが引き続き登場し、安心感のあるスタートだ。それぞれの紹介をわざわざする必要がないので、無駄なくスムーズに進行できる。しれっとネズミのキャラなどが間引かれてはいるが、同じキャラだけで続けると新鮮味がなくなるので、新キャラとの数名の入れ替えがあるのは仕方がない。ただ前作で好きだった金持ちの息子で主人公の友人の羊が出てこないのは少し寂しかった。
彼らに代わって、ホッキョクオオカミのショービズ界の大物経営者やオオヤマネコのストリートダンサーなど、新しいキャラたちが登場する。テングザルのダンス教師など、相変わらず擬人化した動物キャラの造形がどれもいい。なかでもゾウの相手役を務める自惚れが強く自己中心的でキザなヤクは、絶妙にムカつくキャラに仕上がっていて可笑しかった。
それからなんとなく映像が「ピクミン」ぽかったり、「スプラトゥーン」ぽかったりする時があり、カラフルな世界観は任天堂とよく似ている。そういえば製作した会社「イルミネーション」はこの後、「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を作っているので、元々何らかの影響は受けていたのかもしれない。
今作では皆でショービズのメインストリームに挑戦したり、それぞれがダンスだったり恋愛だったり、新しいことに挑む姿が描かれている。ダンスシーンなどは楽しかったが、その分、歌の魅力を伝えるような表現は薄れてしまっている印象だ。もうそれは当たり前の前提となっている。
コミカルなシーンでは、コアラの主人公が川に落ちてびしょ濡れとなった後、その体毛が乾いていく過程が面白かった。こういう爆笑できるシーンがもっとあってもいいように思うが、他のシーンでは控えめだ。今作では主人公の秘書のイグアナが、お笑い担当として前作を上回る活躍を見せている。
クライマックスは大劇場でのステージだ。前作よりかなりパワーアップしているので見ごたえがある。それぞれにちゃんと見せ場も用意されている。それに主役を強引に奪った生意気な社長の娘のオオカミや、なんかムカつくヤクを、懲らしめるのではなくちゃんと活かしているのが良かった。
特になんかムカつくだけのヤクには好きにやらせて放置しており、その対処の仕方には好感が持てた。嫌いだからといって何も排除したり対立したりする必要はなく、互いに必要以上に関わらないようにすることで共存できることを示している。嫌いな人の陣地にわざわざ乗り込んでいって勇ましいつもりで戦っている人もいる世の中で、色々と示唆的だ。
劇中でたくさんの有名曲・ヒット曲が使われていて、それだけでシンプルに楽しい映画だ。今作ではボーカルのボノが声の出演もしているが、バンド「U2」がフィーチャーされている。ただ、彼らが世界的なロックバンドであることは知っているが、あまり彼らの曲をちゃんと聞いたことがなく、そのすごさがまだよく分かっていないところがあるので、終盤にかけていまいち盛り上がり切れない自分がいた。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/原作/出演(声) ガース・ジェニングス
出演(声) マシュー・マコノヒー/リース・ウィザースプーン/スカーレット・ヨハンソン/タロン・エガートン/ボビー・カナヴェイル/トリー・ケリー/ニック・クロール/ファレル・ウィリアムス/ホールジー/チェルシー・ペレッティ/レティーシャ・ライト/エリック・アンドレ/アダム・バクストン/ガース・ジェニングス/ピーター・セラフィノヴィッツ/ジェニファー・ソーンダース/ニック・オファーマン/ボノ/ニック・オファーマン/スパイク・ジョーンズ/ウェス・アンダーソン/クリス・ルノー/エドガー・ライト
音楽 ジョビー・タルボット
SING/シング: ネクストステージ - Wikipedia
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