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「ウォー・ドッグス」 2016

ウォー・ドッグス(字幕版)

★★★★☆

 

あらすじ

 久しぶりに再会した悪友に誘われ、武器商人となった男。実話を基にした映画。

 

感想

 恋人が妊娠して経済的な不安を覚えた主人公は、久しぶりに再会した悪友に誘われて武器取引の仕事を行うようになる。しかし、もともと友人がその世界をかじっていたとは言え、若い二人が政府との武器取引ビジネスに参入できてしまうというのがすごい。政府が詳細を明かせない方法で使えないマスクを発注したり、どこかの首長が精査することも契約書を交わすこともなく口約束の言い値で知り合いの業者に仕事を頼んでしまうような国に住んでいると、ちょっと信じられない気分だ。だが、こんな風に公平に誰でも参入できるシステムを作って透明性を高めていくことが、行政の本来の仕事といえるだろう。

 

 米軍が必要とするありとあらゆる備品の発注情報をすべてインターネットで公開し、それぞれに業者が入札することによって受注者が決まるシステム。主人公らは大手が見向きもしないような小口の仕事を落札することでビジネスを行っている。ただ小口と言っても相手は巨大な米軍なので莫大な金額が動き、かなり儲かることになる。彼らは手頃な案件を見つけては大金を稼ぎ、成功を収めていく。

 

 

 主人公と友人が取引の過程で次々と起こる諸問題を、賄賂やはったり、そして運で何とか切り抜けていく姿は、面白くて見応えがあった。武器の輸出規制で現地に直接運べず、第三国を介して戦地の中をトラックで走り、陸路で自ら配達してしまったり、出所が怪しい武器を買い付けたりしている。しかも勢いとノリだけでやっているものだから帳簿などはつけておらず、後で必要となった時には数年分を様々な書類と共に偽造しまくったりもしていて、もう無茶苦茶だった。

 

 しかしそんな主人公の日々も、友人の強欲さが裏目に出て危険な目にあった事から終わりを迎える。この友人役のジョナ・ヒルが、自信満々で適当な自己中心的な男を好演している。彼はクセの強い特徴的な笑い方をするのだが、それすらも相手を自分のペースに引きずり込むための、本人も気づかずにやっているテクニックのように思えてしまった。彼は仕事をこなすうちにどんどんと自信を深め、それと共に強欲さも増大させていく。

 

 そして追い打ちをかけるように、彼らが今までやってきた悪事が遂に露見してしまった。これは誰でも参入できるシステムだったから起きた事件で、だから駄目なんだと責めることも出来るが、それで止めてしまうのではなく、問題点を明らかにして再発しないよう修正すれば、さらにシステムはより良いものに変わっていく。これを続けていれば、問題が起きればとにかく隠蔽、有耶無耶のままで時間を稼ぎ、いつまでやっているのだと逆に追及者を責めることばかりやっている国との差は着実に広がっていく。

 

 印象に残るセリフもたくさんあり、いいタイミングで流れる音楽の選曲も良くて、時間を忘れて最後まで見ることが出来た。さてどっちだ、どうするのだ?と思わせぶりに終わるラストもいい。これが実話というのに驚いてしまうが楽しめた。

 

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/製作 トッド・フィリップス

 

原作 ARMS AND THE DUDES


製作/出演 ブラッドリー・クーパー

 

出演 ジョナ・ヒル/マイルズ・テラー/アナ・デ・アルマス/ケヴィン・ポラック/ショーン・トーブ/JB・ブラン/エディ・ジェイミソン

 

音楽 クリフ・マルティネス

 

ウォー・ドッグス - Wikipedia

 

 

登場する作品

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