★★★☆☆
あらすじ
連れ去られた恋人を追って、宇宙の彼方へ向かった主人公。
感想
前作はハイテンションな出だしだったが、今作は穏やかなスタートだ。その後も比較的ゆったりとしたテンポでガチャガチャせず、落ち着いてみることが出来る。これでたっぷりとレゴで構築された世界観を鑑賞できるかと思ったのだが、今作は映像にそれほどレゴ感がないのが残念だ。要所要所にレゴ要素を配置しているだけで、すべてがレゴ、といった感じではない。
序盤は荒廃してしまった彼らの町の様子が描かれるのだが、まるで「マッドマックス」みたいになっていて面白かった。その後には「スターウォーズ」的なシーンもあり、良いパロディに仕上がっている。皆が荒んだ世界に相応しい振る舞いをしているのに、主人公だけがひとり、のん気なマイペースで、それが笑いとなっている。
やがて恋人らが連れ去られ、主人公はそれを追って宇宙へと旅立つ。前作のラストで描かれた妹の登場が今回の題材となっていて、レゴの持ち主である兄妹の対立が描かれている。
敵に次々と取り込まれてしまう仲間を尻目に、主人公は唯ひとりでそれに抵抗していた男と手を組み、必死に戦おうとする。だが、気が付けば主人公らが皆にとって一番迷惑な存在になっていたのは皮肉だった。自分たちの世界を守ろうとするあまり、不寛容になってしまうのはよくある話で、現実世界でもよく見る。
主人公が自身の行為を「男らしさ」と思い込んでいたのも示唆的だ。世界のニュースなどで見る極右勢力はだいたい強さやタフさを誇示するような外見をしている。日本の「ネトウヨ」と呼ばれる人たちも見た目はともかく、ネット上での口ぶりは攻撃的で勇ましい。
彼らもきっかけは純粋に愛国心だったのかもしれないが、いつの間にか己の強さを誇示して自己陶酔したいだけになってしまったのだろう。これはナルシシズムとも関係がありそうだ。
今回もなかなかうまいプロットなのだが、だいぶ分かりづらさがあったような気がする。恋人らが連れ去られた理由は、結婚式に招待されたからだったが、それの何が問題なのか最初はピンと来ず、そこでつまずいてしまった感がある。
相手を敵視して不寛容になるのではなく、兄妹に限らず誰とでも仲良く遊びなさい、ということなのだろう。エンドクレジットで流れる曲の歌詞が面白くて、最後まで楽しめた。
スタッフ/キャスト
監督 マイク・ミッチェル
製作総指揮 ジル・ウィルファート/キース・マローン/マシュー・アシュトン/クリス・マッケイ/ザレー・ナルバンディアン/ライアン・ハルプリン/ウィル・アレグラ/クリス・レイヒー
出演 クリス・プラット/エリザベス・バンクス/ウィル・アーネット/ティファニー・ハディッシュ/ステファニー・ベアトリス/チャーリー・デイ/アリソン・ブリー/ニック・オファーマン/マーヤ・ルドルフ/チャニング・テイタム /コビー・スマルダーズ /ジョナ・ヒル/ジェイソン・モモア/レイフ・ファインズ/ウィル・フェレル/リチャード・アイオアディ/ベン・シュワルツ /アイク・バリンホルツ/ウィル・フォーテ/ブルース・ウィリス
音楽 マーク・マザーズボー
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