★★★★☆
内容
世間で話題になった時事ネタを取り上げつつ、それに関連する本を紹介していく。
2020年から2023年にかけて「QJ Web」に月一回で連載された記事をまとめたもの。
感想
時事ネタを取り上げつつ、それに関する本を紹介していくブックガイドだ。時事ネタを取り上げた期間がちょうどコロナ禍が始まった頃からで、その時の空気感も追体験できるようになっている。この時期の世の中の様子を記録しておくことは大事だ。なんせ我々は政府がまともに記録を残そうとしない国にいる。
取り上げたネタについて徹底的に論じるというよりも、それを枕に、思い浮かんだ本を紹介していくスタイルになっている。即断しないで本でも読みながらゆっくり考えようという姿勢は、目の前のニュースをその場その場で即座に一刀両断し、次のニュースに向かおうとする昨今の風潮に虚しさを感じ始めている自分には心地よかった。
考えてみれば、次から次と上がってくるニュースを斬り捨てて、数日後にはそんなニュースがあったことすら忘れているなんて、庭先を通りがかった人すべてに吠えかかっている子犬とたいして変わらない。高い知能を身につけ、見事に情報を処理しているつもりなのに、その姿が動物みたいになっているのは皮肉だ。
すでに忘れかけていたトピックを思い出しつつ、気になった本をメモしながら読み進めていった。毎年、野球やサッカーになぞらえて、その年に出た本で最強布陣を組んでみる企画も面白い。そしてその冷めやらない著者のスポーツ愛にも感心してしまう
![会社で言われた事で打線組んだ [Explicit]](https://m.media-amazon.com/images/I/51X27kCln8S._SL500_.jpg "会社で言われた事で打線組んだ [Explicit]")
なんでもかんでもすぐに結論を出さず、分からない、と立ち止まってみることも大事だなと思わせてくれる本だ。
著者
豊崎由美
