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「コピー用紙の裏は使うな! コスト削減の真実」 2007

コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37)

 

著者 村井哲之

 

 コスト削減-これこそが経営上重要なことである。やりたいことは分かるし、数字を見せれば誰だって納得する。けど社長が「全社を上げてコスト削減に取り組みます。」なんて言ったら、やっぱり従業員は気分が沈むと思う。きっと「コスト削減」って言葉がまずい。とにかくケチで、セコくならなければならないと考えてしまう。実際、「筆記用具は、使い切った現物を見せないと新しいものを支給しません」なんて言い出す馬鹿な上司もいるわけで。その結果を検証せずにただケチでセコくなっただけで、満足したりする。仕事が窮屈になるだけである。

 

 「コスト削減」を「業務の効率化」と言い換えればいいのでは。従業員にとっても仕事がスムーズにこなせるようになるイメージもわくし。あまりネガティブな印象を与えない。

 

 本の内容。「コピー用紙の裏は使うな」には納得。デジタル化が進み、ペーパーレスなんて言葉もあるが、きっとアナログで仕事を進めていた時よりも、紙の消費量は増えたと思う。一つの書類を作るのに何度もプリントアウトしたり、メールで方々に送信するから各自がそれぞれ印刷したりして。デジタルで保存してても、念のため紙でも書類を保存する。おかげで使用済みの用紙は山のようになる。で、コスト削減ってことで、コピー機やらプリンターに再度それを突っ込むけど紙が詰まったり、裏表間違えて結局やり直したり、そんなこんなでOA機器の周りにはいらいらした人たちだらけ。いっそやらなきゃいいのにって思ってた。

 

 そんなわけで間違いだらけのコスト削減の取り組みを、本の中で紹介してくれるのだが、なぜか「コスト削減」ってエコだよね。エコっていいよね。と締めくくられてしまった。全然納得いかない。最近の風潮としてとりあえずエコを織り交ぜときゃ良いみたいなことになってるけど、企業のコスト削減にはエコと重なる部分もあるけど、重ならない部分もある。第一、環境問題を考えるなら「コピー用紙の裏も無駄にするな」って言わなきゃいけないのでは。

 

 「エコ」って言っておけばいい人に見えるのかもしれないけど、環境問題もコスト削減と同じようにその効果をしっかりと検証しないとね。じゃないとただの自己満足になるかもよ。

 

コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37)

コピー用紙の裏は使うな!―コスト削減の真実 (朝日新書 37)