★★★☆☆
あらすじ
飼い主と幸せに暮らしていた小型犬は、ある日突然同居人となった大型犬に敵意を燃やしていたが、ひょんなことから二匹で大都会を彷徨うことになってしまう。
シリーズ第1作目。原題は「The Secret Life of Pets」。90分。
感想
飼い主の留守中にペットたちが冒険する物語だ。主人公の小型犬は、大好きな飼い主が毎日自分を置いて出かけてしまうことに不満を持ち、外で何をやっているのだと訝しんでいる。
だからてっきり主人公がそれを調べるために冒険に出るのかと思っていたのだが、その件はそこで棚上げされてしまう。その後は一切触れられないので、なんだか解せないものがあった。そもそも飼い主の留守中、主人公は部屋に閉じ込められているわけではなく、自由に外に出て他の動物たちと会ったりできていたので、それこそ尾行して調べればいいのに何で調べないのだろう?とこっちが訝しんでしまった。
主人公は新たな同居人となった大型犬に敵意を燃やし、散歩中に喧嘩をしているうちに皆とはぐれてしまったことから、二匹で動物管理局や人間を敵視する元ペット軍団に追われることになる。都会では、ペットであることを証明する首輪が、野犬でないことを示すために重要なアイテムになっているのが面白い。二匹は首輪を失ったことで追われることになってしまった。
二匹は共に逃げ、我が家を目指すことで友情を育んでいく。途中でソーセージ工場に忍び込み、ハイになって幻覚を見るシーンの映像はぶっ飛んでいて面白かった。子供向けの映画でそれは大丈夫なの?と勝手に心配してしまった。
また、近所のペット仲間が主人公らを捜索する姿も同時に描かれる。途中で彼らに協力する仲間や、敵対する元ペット軍団も含めると、犬と猫だけでなく多種多様な動物が登場し、動物の世界も都会の方が多様性に富んでいるのだなと妙に感心してしまった。個人的には口が平たいワニのキャラの造形が好きだった。海水ではなく淡水ワニなのかもしれない。
そんな中でヒロインのポメラニアンが、他の動物たちをすぐに襲おうとしてしまう鷹を簡単に信じて、あっさりと仲間にしたのには冷や冷やした。他者を信用することは確かに大事だが、その判断は慎重に行うべきであることをもっとちゃんと示して欲しかった。いつか誰かが襲われるのではないかと、無駄に緊張感が出てしまった。
クライマックスは動物管理局の車から主人公が相棒の大型犬を救い出すシーンだ。それまで大型犬に助けられっぱなしだった主人公が、勇気を振り絞って決死の行動に出るシーンだが、結局彼だけでは助けられず、助っ人のヘルプが必要だったのはちょっと冷めた。ひとりで無理しないで皆と協力することも大事だが、そこは一人でやり切るべきだった。物語が締まらない。
映像や音楽も良く、コミカルなシーンもそれなりに笑えて楽しめる映画だ。だがこれらは主人公の自業自得で起きたことだからなと、動物たちの物語には盛り上がり切れない部分があった。それから最初と最後だけだが、外出を見送る悲しそうな顔や帰宅時の嬉しそうな顔など、人間目線で見た動物のシーンにはグッとくるものがあったが、これも急に人間の視点に切り替わるちぐはぐさを感じてしまった。
スタッフ/キャスト
監督 クリス・ルノー/ヤーロー・チーニー
出演(声) ルイ・C・K/エリック・ストーンストリート/ケヴィン・ハート/スティーヴ・クーガン/エリー・ケンパー/ボビー・モイニハン/レイク・ベル/ダナ・カーヴィ/ハンニバル・バーエス/ジェニー・スレイト/アルバート・ブルックス/タラ・ストロング/クリス・ルノー
音楽 アレクサンドル・デスプラ
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