★★★☆☆
内容
SNSで手軽に情報を発信できるようになった時代に、人々に読まれる文章を書くテクニックを紹介していく。
感想
SNSでバズらせる書き方が紹介される。だがここでいうSNSには旧Twitterやインスタグラムなどの短文系のものは含まれていない。想定しているのはFacebookのようで、この他にはブログなども含まれるのだろうが、そうなると対象となる読者は案外と少ないような気がしないでもない。今、長文系のSNSをやっている人はどれくらいいるのだろうか。
読んでいてまず気になるのは、なんのためにSNSでバズらせようとしているのかが明確でないことだ。宣伝や啓蒙、メッセージを伝えること、共感を得るためなど、色々なものがごっちゃになっている。何を書くかについては触れられておらず、なんとなくフワフワとした感覚になる。
だがよく考えてみれば、ほとんどの人がなんのためにSNSをやっているのかを強く意識しているわけではないので、これでいいのかもしれない。言いたいことを言って何か反応があったら嬉しい、くらいの感覚でなんとなくやっている。
スマホ仕様の見栄えを意識するところなどはSNS向けぽかったが、あとは至って一般的な内容の文章術が紹介されていく。
世の中には、頭の中で思っているぶんにはよくても、表に出してはいけないことがある。それを無作為に発信しないように気をつけるのは当然の作法だ。
p62
これも常識的なマナーだったはずだが、今は言っちゃいけないことを言ったほうがバズりやすかったりするので頭が痛い。建前を大事にしなければいけないはずの政治家までもが、せっせとヘイトや偏見をまき散らしていたりする。ただこういうものが威力を発揮するのは短文系のSNSではある。
杉田水脈議員に「人権侵犯」の認識はあるのか? 繰り返す弱者への蔑み 自民党が責任問わないのはなぜ:東京新聞 TOKYO Web
それから何度も文章を推敲することも推奨されているが、この本の内容や構成はちゃんと推敲したのかなと思わなくもない。著者がSNSで発信する際に意識している文章術を、つらつらと書き連ねただけのような印象だ。だが内容に頷ける点も多くて読みやすいので、それこそSNS的にさらっと目を通すには悪くない。
著者
成毛眞