★★★☆☆
頑張りすぎて疲れている人に送るアドバイス。
今まで漠然と感じていたことが論理的に語られていて、色々と頷かされる事が多い。中でも礼儀とは自分を守ること。慇懃無礼という言葉があるように、人は礼儀正しい人には攻撃しにくいという面がある。どんなに怒っても相手が同じように怒ってくれないとどうも拍子抜けして気持ちをぶつけられない。いつまで経っても敬語の人には何故か踏み込めない壁を感じてしまう。礼儀正しければ正しいほどまさに、相手に攻撃の隙を与えない鉄壁の防御となる。
それから人が画一的な行動を取ることへの危機感。人類がこれまで様々な可能性を試して生き残ってきたのに、それを画一的にしてしまっていいのかってこと。今は皆が個性的であろうとしているけど実は、その個性なんてよくよく見てみれば誤差程度の差異でしかない。もっと極端なぐらいな差異を目指すべきであるということ。
これを読んでぐっすり眠れるようになるかは分からないけど、頭の中でもやもやしていたことがすっきりしたような感はある。橋本治もそうだけど、こうやってずっと頭の中で色々考えを巡らせていそうな人たちが意外と身体感覚の重要性を説いているという共通点があるのは興味深い。
著者 内田樹