★★★☆☆
内容
サイズから生き物を考察する。
感想
生き物が生き物であるための条件はあるのだから、その条件をどのようにクリアしているかを見ていけば、それぞれのカタチは説明できる。例えばグロテスクな造形のナマコにだって、そのカタチである理由がある。確かに。何も美的観点からその姿をしているわけではなく、生存するために最適な姿になっているだけだ。
そして生き物である条件がある以上、生き物の体重や動く速度も一定の法則があるはずだ。そういった観点からあまり考えたことがなかったのでなかなか面白かった。ただその法則を説明するためにたくさんの数式が出てきて、正直これがかなりつらかった。法則はあっても単純な数式では説明できないのだから、仕方がないのだが。
ヒトデやウニのような人間から見たら採取が簡単な、動きのノロい生き物たちは愚鈍な印象を受けるが、実際は素早く動く必要がない構造になっているというのも新鮮だった。敵から逃げるために素早く動ける体にしても、相手もそれに対応してさらに素早く動ける体へと進化する。となると結局イタチごっこできりがない。それならば別の解決方法として、敵に食べられない構造になればいい。やはり生存競争で勝ち残ってきたのには理由があるのだなと納得した。
著者
本川達雄
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