★★★★☆
内容
「読書は格闘技」と唱える著者の読書の実践方法を紹介する。
感想
「正義」「時間管理術」「グローバリゼーション」など、各テーマごとに様々な本を紹介しつつ、著書がそれらの本との「格闘」の結果得られた知見や考察などが語られていく。たくさんの本が紹介されているので、そのテーマについて知りたいときには参考になりそうだ。読書術の本でありながら、読書ガイドの側面も持っているといえるだろう。そして、各章の最後にはその他の参考になりそうな本が紹介され、その難易度も記されている。この難易度の設定が、自分がなんとなくイメージするものと違っていて不思議だ。難しそうなものが難易度Cで、そうでもなさそうなものが難易度Aだったりする。
読み進めているうちに感じるのは、あるテーマについて知見を深めたいときは、それに関する本を一冊ではなく何冊も読んでみる事の重要性だ。テーマは同じだが異なる立場で書かれた様々な本を読み、その違いや共通点に注目して「格闘」することで、バランス感覚のある意見を持つことが出来るようになる。逆に一冊の本しか読まず、それを聖書のように有難がって理解したような気でいると、知らず偏った意見の持ち主になってしまう。それこそただの信者と同じだ。
本書では様々なテーマが取り上げられているが、中でも「教養小説」の章で、「タッチ」や「エヴァンゲリオン」と少女漫画との類似性を指摘する場面は面白かった。確かに平凡な主人公が美少女のために頑張り、内に秘めた才能を開花させていくストーリーは、何のとりえもない女子がイケメンに見初められて始まる少女漫画のシンデレラストーリーとよく似ている。
あるテーマでは読んだことのある本が何冊も紹介されているのに、別のテーマでは一冊も無かったりと、自分がよく読む本にジャンル的な偏りがあることを思い知らされてしまう本でもある。そして著者のその守備範囲の広さに感心する。自分もあまり読んだことのないジャンルの本も読みたいなと思ってはいるのだが、いつもいざとなると食指が伸びない。無理して読むこともないのかもしれないが、そういう興味の幅広さが教養の深さへとつながっていくはずだ。とはいえ他に興味が芽生えるまでは、今興味のあることを深めていけばいいのかなとも思っている。
著者
瀧本哲史
登場する作品
*「高慢と偏見」
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