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「喜劇初詣列車」 1968

喜劇初詣列車

★★★★☆

 

あらすじ

 勤務中に小学校時代の幼なじみの女性と再会した国鉄の車掌は、彼女が弟を探していることを知り、協力するようになる。

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 「東映列車」シリーズ第3作。91分。

 

感想

 車掌である主人公が、幼なじみの女性の行方をくらました弟を探す物語だ。中年の主人公が若者文化の中に入っていく展開で、冒頭のスキー客でにぎわう車中の様子からしてそうだったが、明るい未来を信じ切っている若者たちの姿に当時の日本の勢いが感じられて眩しい。

 

 普通の若者からヒッピー的に生きる若者までが、どんなことをしたって生きていけるのだと何の疑いもなく信じている。今みたいに、そんなことをしたら将来困ることになるからやっちゃダメだ、賢く無難に生きなくては、みたいな汲々とした雰囲気は全くない。最近は昔の日本を見るとそんな事ばかり思って暗い気分になってしまうので、もうそういうものだと思おうとしているのだが、それでもやっぱり気になってしまう。

 

 

 若者に迎合して、なんとか女性の弟の情報を得ようとする主人公の様子が面白おかしく描かれていく。ベタな笑いで溢れているのだが、演じる渥美清が上手いので思わず笑ってしまう。デパートの屋上遊園地で目が回ってしまったシーンは可笑しかった。そしてそれらの総決算のような茶の間でのドタバタ劇も良く出来ていた。

 

 それから、この映画の翌年に始まる「男はつらいよ」シリーズでフーテンの寅を演じることになる渥美清が、フーテンとなった女性の弟をこんこんと説教する姿も、今見ると味わい深いものがある。

 

 主人公が、佐久間良子演じる女性の弟探しに協力するのはもちろん下心があるからで、既婚者なのにありなの?と思ってしまうが、彼の下心が叶うことは絶対にないという安心感があるから笑って見ていられるのだろう。そう考えるとキャラクターというものは重要だ。

 

 最後は弟を更正させ、恋のキューピッドにもなり、主人公の恋心も善い人ねであっさりと済まされて、なんとなく良い話で大団円となる。ちなみに弟にフーテンとして生きようと思わせた震災とは1964年の「新潟地震」のことのようだ。ここ何年かでも震災が色々あったが、同じように人生観が変わってしまった人はたくさんいるのかもしれない。

 

  終盤は年の瀬や正月の雰囲気が感じられるシーンが続く。正月気分が味わえるよく出来た娯楽作品だ。正月映画として気楽に楽しめる。

 

スタッフ/キャスト

監督 瀬川昌治

 

出演

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中村玉緒/川崎敬三/佐久間良子/小松政夫/城野ゆき/西村晃/若水ヤエ子/財津一郎/大泉滉

 

喜劇初詣列車 - Wikipedia

喜劇初詣列車- YouTube

 

 

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