★★★★☆
あらすじ
死んだ教祖の人生とその跡目を争う壮絶な戦い。
感想
死んだ教祖の人生に登場してくる人物たちや主人公の周りに集まる人間たちが、現実の誰かを想像させる描写で面白いが、こんなこと書いちゃって大丈夫なの?と勝手に不安に思ってしまう。やりたい放題だ。
そして宗教がらみの話なのに、ずっと宗教をサービス業のビジネスとして描いているのも興味深い。宗教はもっと言えば客にどれだけ楽しみを与えられるかのエンターティメント業である。お伊勢参りは旅行の口実を与えたし、集会も話し相手のいない孤独な人の寂しさを紛らわさせ、信者獲得によって位の上がるシステムもある種のゲームだ。神社でやるおみくじもとげぬき地蔵もエンターティメントを提供している。
神がいるかどうかよりも、むしろそれの方が重要なんじゃないかと思えてくるくらい。まぁ本人も楽しんでいるのだから、他人に迷惑をかけない限り、とやかく言う必要はない。ただ特に新興宗教の人とか、それを隠すのがなんか怖く感じてしまうのだけど。
物語は荒唐無稽と言えるほど何でもありで無茶苦茶なのだが、実在の人物を連想させる登場人物だったり、過去の作品へのオマージュを感じさせる箇所があったりと、とにかく読むのが止まらなくなるくらい面白い。前作より濃い。
この著者の作品を何冊か読んだが、そろそろ物語も終わりかなと思ってから、そこから長い、というのが特徴か。終わったと思わせてそこからまだ展開がある。全てを出し切ろうとしている意気込みが感じられる。ただ、今回は最後がちょっとぼんやりしちゃったかなという印象。
著者
登場する作品
登場する人物
タモリ / 小沢健二
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前作