★★★☆☆
あらすじ
幼いころ、毎年のように同じ時間を過ごしていた女性二人が、25年ぶりに再会する。芥川賞受賞作。
感想
人間の記憶は不確かなもので、大事なことを忘れていたり、どうでもいいことを覚えていたりする。そして同じ時を過ごしたとしても、それぞれが覚えていることが違ったり、記憶が一致しないこともある。いつの間にか夢だったのか現実だったのかすら曖昧になってしまった記憶もある。
そんな経験をすると、色々な体験をして過ごしてきたはずの自分という存在が不確かなもののように思え、かすかな不安が湧き起こる。古い友人と昔話に花を咲かせるのもそんな不安を打ち消すための確認作業なのかもしれない。
二人の女性、夢と現実、現在と昔が行き来するどこかふわふわとした物語。
著者
朝吹真理子