★★☆☆☆
あらすじ
胸に花が咲く現象を研究する男と、そこで患者のセラピストして働き始める女。
感想
胸に花が咲くのは女性のみということから、子供だとか恋とかを暗喩しているのだろうか。ほぼ女性のみが暮らす施設内で起きたことは、いかにも女社会で起きそうなことではあった。
ただこうやって改めて問われると、「花」という存在は不思議だ。何故あのように色とりどりに咲く必要があるのか。そしてそれをなぜ人は美しいと思うのか。論理的に美しいのか、植物の生存戦略によって何らかのバイアスがかけられて美しいと思わさせられているのか。このあたりの不思議さも胸に咲く花に重ねられているような気がする。
そして男にとっては女性も不思議な存在だ。時折妙に肝のすわった態度になる。この映画で言えば、母体に多大な影響を与えることがわかっている花が恋人の胸に生えたことを知った男はすぐに除去しようとするが、当の本人である女はそれを育て花を咲かせ種子を取りたいと拒否するシーン。なんなんだろう、この揺るぎない覚悟は。
何らかの身体的な作用によって花が咲くわけではなく、寄生して花を咲かせるという説明なので、最終的には寄生する花に体を乗っ取られた、と解釈したが、正直良くわからなかった。あまりテンポも良くなく、淡々と物語が進行するので、とても上映時間が長く感じられて結構辛かった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/編集 石井岳龍
出演 綾野剛/黒木華/刈谷友衣子/山下リオ/伊藤歩/古舘寛治