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「インビジブル・インフルエンス 決断させる力」 2016

インビジブル・インフルエンス 決断させる力

★★★☆☆

 

 人々の決断を左右している見えない影響力、「社会的影響力」について、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの准教授である著者が解き明かす。

 

私たちの決断は、九九.九%までが他人によって方向づけられており、むしろ他人の影響を受けない意思決定や行動を見つけるほうがむずかしい。

p2

 

 自分の意思決定が他人の行動によって決められていると言われると、そんなはずないと反論したくなるが、読んでいるうちに次第に納得してしまう。まず述べられるのは、人々は基本的に互いに真似をし合うものだ、ということ。確かにある集団に属し、そこで皆が食べるものを食べ、皆が使う言葉を使い、同じような行動を取ることでリスクを減らし、人類は進化してきた。また同じ行動を取ることで集団の一員であることを表明することもできる。

 

 とはいえ、人は他人のマネばかりをしているわけではない。マネをしつつも小さな差異を強調することで個性をアピールしようとする。皆が乗っているプリウスを買っても、色やオプション、グレードの違いを強調することでほかのプリウス乗りとは違うことをアピールしたり、人気バンドの好きな曲に大ヒット曲を挙げるのではなく、人気が出る前の初期の曲を挙げて、にわかファンではないことをアピールしたりするアレである。

 

 これらは他人から見れば対して変わらないのだが、当人たちは自らのアイデンティティを満足させるほど大きな違いだと感じていて、そのギャップに苦笑してしまう。だけど当人たちが満足しているというのが重要で、そこをうまくくすぐることができればヒット商品を生み出せるのかもしれない。

 

 それからあえてマネしないという行動を取ることもある。自分は属していないと思う集団が取る行動はあえてマネをしない。ここでは学力優秀な黒人の学生が、仲間から白人のマネをしていると揶揄されて勉強しなくなる、という悲しい例が挙げられている。日本でも同じようにまわりに影響されて、敢えてバカなふりをする高校生とかいるよな、と切ない気分になってしまった。

 

 昔からよく言われる付き合う仲間を見ればその人が分かる、っていうのは間違っていないということだ。住む場所も重要なようで、実際に貧困地域から豊かな地域に生活の場所を移すだけで、犯罪に関わる率や病気になる率などが格段に良くなると言う。自分がなりたいと思うような人と同じ場所や環境にいるようにするということは、優先的に考えたほうが良さそうだ。

 

 読んでいるうちに確かに人々の決断が周囲に影響されている場面を思い浮かべられるようになるが、それでも難しいのはそういう人々に自分も含まれていると認識することだ。どうしても自分は違うと思いたくなってしまう。

 

 きっとどこかで自分がただ周囲に流されて生きているだけだと思いたくないのかもしれない。ただ著者はそういうものだと受け入れて、それをうまく活用して人々に良い影響を与えていこうとポジティブなメッセージを送っている。そして実際にどのように活用すればいいのかも説明しているのだが、そこで採り上げられる活用法があまり多くないのが少し残念。もっとポジティブな気分になれるほど、たくさん紹介して欲しかった。

 

著者 ジョーナ・バーガー

 

インビジブル・インフルエンス 決断させる力

インビジブル・インフルエンス 決断させる力

 

 

登場する作品

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

ハリー・ポッターと賢者の石 1-1 (ハリー・ポッター文庫)

ベイビー・ワン・モア・タイム

ウップス!...アイ・ディド・イット・アゲイン

風と共に去りぬ 第1巻 (新潮文庫)

カッコウの呼び声(上) 私立探偵コーモラン・ストライク

オズの魔法使い (新潮文庫)

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水源―The Fountainhead

女の平和 (岩波文庫 赤 108-7)

そのひとクチがブタのもと

フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ (上) (ハヤカワ文庫NV) (ハヤカワ文庫 NV シ 28-1)

3びきのくま (世界傑作絵本シリーズ)

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うさぎとかめ (ブライアン・ワイルドスミス作品選)

 

 

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