BookCites

個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」 2021

シン・エヴァンゲリオン劇場版

★★★★☆

 

あらすじ

 前作で放心状態に陥った主人公は、他のパイロットらと共に避難民が暮らす村にたどり着き、そこで暮らし始める。

www.youtube.com

 

 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」4部作の4作目。155分。

 

感想

 前作の暗い雰囲気を引きずりつつ、前半は主人公らの農村生活が描かれる。人間らしさを学習する綾波レイのそっくりさんが見どころで、これまでとは違ったどこかのんびりとした雰囲気があった。

 

 個人的には、主人公らが謎だらけな中で、愚痴をこぼしながらも敵と戦っている混沌とした感じが好きだったが、ずっとそれを続けているわけにもいかない。映画は物語を終わらせるための総決算的な展開へと舵を切る。クライマックス前に漂うヒリヒリとした悲壮感はたまらないものがあった。

 

 

 最後の戦いの中で、物語全編を貫いていた主人公の父親に対する思いや、逃げて引きこもりがちだった子供ぽい態度に変化が現れる。そして冷酷に見えていた父親の本音も明らかとなり、また他の登場人物たちの抱えていた想いにも焦点があてられていく。これらだけだとそこまで真新しさはないのだが、それを複雑で難解な、一見わけのわからない世界観の中でやるから面白さが感じられるのだろう。

 

 皆の人間らしさが露わになっていった中で、唯一変わらなかったのは第2作から登場した真希波・マリ・イラストリアスだろうか。主人公が際立っていただけで、実際はどのキャラクターにも幼さを感じさせるものがあった。彼女はそんな彼らを超然と見守るような、どこか別次元にいるような存在だった。アスカには保護者のように付き添い、最後は主人公を迎えに行く。主人公が次の段階に成長するためには、仲間ではなく、彼女のような存在が必要だったのだろう。それほど二人の接点は多くなかったが、彼女はいつも主人公のことを理解していた。

 

 長時間の映画で、普通だったら二時間に切り刻まれた通常版が公開され、その後揉めて、ディレクターズカット版だの完全版などが出てきてもおかしくなさそうな内容だった。正直なところ、物語の全容を完全に理解したとは言えないが、圧倒的な熱量に惹き込まれてしまうところがあった。実は全部夢でした、と夢オチで終わったとしても全然納得して受け入れてしまうような不思議な力がある。何度でも見られそうだ。

 

 

スタッフ/キャスト

総監督/脚本/原作/製作総指揮 庵野秀明

 

監督 鶴巻和哉/中山勝一/前田真宏

 

出演(声) 緒方恵美/林原めぐみ/宮村優子/坂本真綾/三石琴乃/山口由里子/石田彰/立木文彦/清川元夢/山寺宏一/神木隆之介

 

音楽 鷺巣詩郎

 

シン・エヴァンゲリオン劇場版 - Wikipedia

 

 

関連する作品

前作 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」4部作の3作目

bookcites.hatenadiary.com

 

 

bookcites.hatenadiary.com

bookcites.hatenadiary.com