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「聯合艦隊司令長官 山本五十六」 2011

聯合艦隊司令長官 山本五十六 ―太平洋戦争70年目の真実―

★★★★☆

 

あらすじ

 日米の戦いが始まろうとする時期からの、 連合艦隊司令長官、山本五十六の姿を描く。141分。

 

感想

 米国との戦争を望む世間の空気に耐えきれず、何の勝算もなくただ流されて開戦に舵を切る海軍大臣に寒気がした。どんな策があるのかと尋ねられて「それは追い追い考えよう」と答えたりして恐ろしい。ただ海軍が悪いみたいになっているが、それ以外の世間や陸軍等、ほとんどの人々は既にノリノリで戦う気になっていたわけで、もう日本自体がどうしようもない事になっている。「戦争はやってみないと分からない」とかのんきに言い放つ海軍の首脳陣。

 

 そんな空気の中でも冷静に敵味方の戦力を見極め、日本の不利を見抜いて出来れば戦わずに済ましたいと考えていた山本五十六が、その先頭に立たされたというのは皮肉でしかない。それでも何とか有利に戦局を展開し何とか早期の講和に持ち込もうとするが、他所から命令系統を無視して口を挟む者がいたりして意思の統一が図れず、思うような戦果は得られない。初っ端の真珠湾攻撃の時点で、既に嫌な雰囲気が漂っていたのはちょっと意外だった。

 

 

 思わしくない状況の中で、決して怒ったり誰かを責めたり、弱気になったり動揺したりすることなく、ただ穏やかにすべてを受け止める山本五十六の姿には心を打たれる。そんな中でふと見せるにこやかな表情や、甘いものに目がない姿など、彼個人のいろいろな側面がじっくり描かれている。

 

 その一方で、死んでいく若い軍人たちや世間の様子、マスコミの姿などはあっさりしているというか、あまりに単純すぎる描き方。居酒屋でのわずか4人ほどの会話だけで世間の声とするのはリアリティがないし、大本営発表を鵜呑みにして発表する新聞とそれに疑問をもつ若い記者とかありがち過ぎる。既に2時間以上ある上映時間なので、これらもじっくり描くととんでもない上映時間になってしまうので仕方がない部分もあるかもしれないが。

 

 決して楽観的に物事を見なかった山本五十六が、泥沼になりつつある戦局の中で、どのようにこの戦争を終わらせようと考えていたのか、気になってしまう。意に沿わない戦争で英雄にされ、好転しない戦局の中で多くの犠牲者を出している状況に、無責任ではあるが彼の心の何処かでは無意識にこんな風に戦場を去ることを望んでいたのかもしれない。

 

スタッフ/キャスト

監督 成島出

 

脚本 長谷川康夫/飯田健三郎

 

出演

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玉木宏/柳葉敏郎/阿部寛/吉田栄作/椎名桔平/益岡徹/袴田吉彦/五十嵐隼士/坂東三津五郎/原田美枝子/瀬戸朝香/田中麗奈/中原丈雄/中村育二/伊武雅刀/宮本信子/あばれる君 

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音楽 岩代太郎

 

聯合艦隊司令長官 山本五十六 - Wikipedia

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登場する人物

山本五十六/南雲忠一

 

 

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