★★★☆☆
日米開戦前夜から真珠湾奇襲までを描く。
アメリカにとってはあまり思い出したくないような出来事をわざわざ映画にするなんて、アメリカも懐が大きい。そして、この戦争を戦った両国で共同で映画を作るなんて言うのも、感慨深いものだ。この映画に関わった人たちはどんな気持ちだったのだろう。
真珠湾攻撃までの日本の悲壮な想いと、それとは裏腹なアメリカの危機感のなさが対照的に描かれる。それまで第二次大戦に参戦していなかったアメリカ人たちの危機体制は、既に第二次大戦を戦うその他の国々とは全くレベルが違ったのだろう。
アメリカへの宣戦布告が遅れたこと、徹底的な戦果を求めず途中で引き揚げた事など、後に指摘されるような出来事も含めて、まるでドキュメンタリーのように淡々と描かれている。
とくに突然爆撃を受ける米国側の様子がリアルだ。のどかないつもと変わらないと思えた一日が、突然の爆撃によって日常から非日常へ、突然切り替わる。
だけど人々はそれをすぐには受け入れられず、日常を続けようとする。そしてただ呆然と爆撃されるのを眺めている。実際、こんな状況ですぐに切り替えて行動に移れる人間なんて、ほんのわずかだろう。そして、この非日常もやがて日常となっていく。
派手でもドラマティックでもない展開に少々退屈さも感じてしまうが、まだこの戦争を生々しく思い出す人もいただろう史実に基づいた映画は、こうするのが正解なのだろう。夜明けに真珠湾攻撃へと飛び立っていく艦隊の姿が美しく、印象に残る。
監督 リチャード・フライシャー/舛田利雄/深作欣二
出演 マーティン・バルサム/ジョセフ・コットン/E・G・マーシャル/山村聡/三橋達也/ジェームズ・ホイットモア/東野英治郎/ジェイソン・ロバーズ/エドワード・アンドリュース/田村高廣/G・D・スプラドリン/芥川比呂志/井川比佐志/室田日出男/マコ岩松
音楽 ジェリー・ゴールドスミス