★★★★☆
内容
一つではなく複数の視点を持つことにより多面的に物事を捉え、常識にとらわれない考え方を身につける。
感想
本の読み方、文章の書き方、複眼思考の方法、そしてそのコツ、と順を追って説明されており、わかりやすい構成になっている。読書の方法から始まり、情報を鵜呑みにせずに様々な角度から検討をすることで、まずは偏ったインプットにならない方法を学ぶ。
問題点を探しだすことで止まってしまっては、「批判的読書」は思考力を鍛える半分までの仕事しかできません。考える力をつけるためには、もう一歩進んで、「代案を出す」ところまで行く必要があるのです。
単行本 p83
本を読んでいておかしいなと思うことはあるが、あまり明確に代案を出すまで踏み込んで考えたことはないので、個人的には響いた箇所。批判するだけではなく、自分の意見を述べられるようにならなければならない。
そしてどのように複眼的に見ればいいのかを、系統立てて紹介されているので分かりやすい。自分はいろいろな物の見方ができると思っていても意外といつも同じパターンで、このパターンは使ったことがないなとか、様々な角度ではなく偏った知識に基づいたある立場からでしか見ていなかったな、という事に気づくことができる。
例として取り上げられているテーマが、パソコンのスキルは必要か?とか偏差値教育の是非とか、時代を感じるものとなっているが、内容自体は今でも全然通用する。むしろ、情報が溢れ、自分の気持ちいい情報だけを入手できるような今の時代にこそ、必要となる思考法かもしれない。
著者
苅谷剛彦

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)
- 作者: 苅谷剛彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/05/20
- メディア: 文庫
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登場する作品
大学から職業へ―大学生の就職活動と格差形成に関する調査研究 (高等教育研究叢書 (31))
大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)
リーディング・ガイド
デュルケームとウェーバー〈上〉―社会科学の方法 (1981年)
パパラギ―はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 (1982年)
悪循環の現象学―「行為の意図せざる結果」をめぐって (リベラ・シリーズ (1))
大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史 (中公新書)