★★☆☆☆
あらすじ
近未来、戦争により秩序が崩壊した世界で、周辺を弾圧する私設軍の強制徴兵から逃亡した男は、ちょっとした嘘から大統領の下で働くポストマンとして知られるようになる。近未来と言いながら今はもう過去の2013年が舞台。177分。
感想
雄大な景色に加山雄三ばりの壮大な音楽、たっぷりとした間で、いかにも大作映画といった趣。だけどなぜかイラつくのは、その大作感に見合わない物語の質の低さ。
皆が希望を持ち交流を図ることで、再び人々が協力し助け合って暮らす社会を築き上げる、という大作らしいストーリーはわかるのだが、それが消化不良のままで終わっている。愛国心を煽る演出も鼻につく。
気になったのは、映画では緊張と緩和が重要だが、この映画では緩和の部分が弛緩しきっている。追手から逃げて廃車や山小屋に隠れたシーン。取り敢えず一安心という状況でしかないのに、何故か完全に警戒を解いて、明かりをつけ大声で手紙を読み上げたり女といちゃついたりと、まるで完全な安全地帯にいるかのように振る舞う。なんで追手に見つからないと安心しきっているのかが謎だった。もう緊張と緩和じゃなくて、緊張とのんきだった。のんきすぎて観ているこっちが無駄に緊張した。
手紙が届いた人々のキラキラした目が印象的だったが、たったそれだけのことで嬉しくなってしまうというのはよく理解できる。結局今、皆がSNSに夢中になっているのもこれの延長線ということなのだろう。誰かからのリアクションを知らせる通知が気になって仕方がない。
そして人々が希望を持つだけで、少しずつ変化は起きていく。誰か一人でもその希望に勇気を得て動けば、さらにそれに希望をもってまた別の誰かが動く。そうやって少しずつ状況は好転していく。
ケビン・コスナーはたくさん映画を監督しているイメージだったが、調べてみるとわずか三作しかなくて意外だった。これは2作目の監督作。成功した最初の監督作「ダンス・ウィズ・ウルブズ」に倣ったのかもしれないが、これに上映時間3時間は長すぎた。
スタッフ/キャスト
監督/製作/出演
脚本 エリック・ロス/ブライアン・ヘルゲランド
出演 ウィル・パットン/ラレンズ・テイト/オリヴィア・ウィリアムズ/ジェームズ・ルッソ/ダニエル・フォン・バーゲン/トム・ペティ/ジョヴァンニ・リビシ/ショーン・ハトシー/ライアン・ハースト