★★★★☆
あらすじ
アルゼンチンを旅する香港のゲイカップル。しかし道に迷って喧嘩をし、別れてしまう。
感想
冒頭にゲイカップルの激しいベッドシーンがあってぐったりしてしまう。しかし、あとから考えると、ここを乗り越えられればその後は普通に見ることが出来るので、ある意味、親切設計なのかもしれない。この試練を乗り越えらるかどうかが、この映画を見続けるかどうかの判断基準になる。
帰国する金がなく、付かず離れずを繰り返し、異国の地で漂うように生きるゲイのカップル。互いに同じ思いを持っているのに、嫉妬したり、束縛を嫌ったりと心がすれ違い、気持ちが一つにならない。
簡単に言えば痴話喧嘩で、これがもし男女の物語であれば延々と見させられてうんざりとしてしまう所だが、見慣れない男同士の恋愛で描くことで、ベタさを感じさせない。ありがちな展開でも新鮮さを感じる事ができるので、あえて男同士にした意味がわかる。今更描くまでもないことでも、どうしても描きたいのなら設定を変えれば良いといういい手本だ。
物語はあってないようなもので、ただただ気持ちがすれ違う二人がダラダラと描かれているだけだが、異国情緒のあるアルゼンチンという場所と音楽、スタイリッシュな映像で、詩的な雰囲気を醸し出している。そして、閉塞感のあるアルゼンチンから、場所を台湾へと移したラストは、何が起きたわけでもないのだが、ダニー・チョンの脳天気なエンディング曲のせいもあってか、妙に開放感がある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本/製作 ウォン・カーウァイ
出演 レスリー・チャン
撮影 クリストファー・ドイル
衣装 菊池武夫
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