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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「ハッシュ!」 2002

ハッシュ! [DVD] 

★★★★★

 

あらすじ

 他人と距離を取ってどこか投げやりな人生を送っていた女。医者の一言で人生について考え始め、傘を貸してくれたゲイのカップルの一人に、子供が欲しいと持ちかける。

 

感想

 女には彼女の望みを叶えてくれそうな若い男が近くにいたのになぜゲイのカップルを選んだのかいまいちよく分からないし、どれだけ本気なのか、その真意はよく分からないのだが、三人の不思議な関係がスタートする。

 

 最初はどことなくギクシャクしていた関係が、共に行動し、互いに言葉を交わすことで、なんだかんだで良い関係になっていく過程は微笑ましい。その中で、彼らが今まで期待していなかった事、諦めていた事、無いものとしていた事を求めるようになり、それぞれの心に前向きな希望のようなものが兆し始めている。

 

 

 基本的にはコミカルなシーンも多いのだが、やはり親や家族の問題など重苦しくなる話題もある。特に、ゲイのカップルの互いの家族が集結して話し合いをするシーンなどは居たたまれない気分になった。だがどこかで笑ってしまいそうな自分もいて、それはそんな中にもコミカルな瞬間が差し込まれているからなのだが、現実世界では、ここまではコミカル、ここからシリアスに、なんて事は当然なくて、どんなシーンにでもそれらが混在しているということなんだよなと思い知らされる。

 

 ゲイのカップルの一人が、若い女の子に一方的に言いよられて断りきれないのを、カップルのもう一人が見兼ねて強引に引き離そうとして、ぐだぐだともみ合うシーンがあるのだが、もうこの辺りではてらうことなくケタケタと笑ってしまっていた。当事者たちは三者三様に大真面目なのだが、第三者から見るとただただ滑稽でしかないというのも、また別の真理だ。

 

 カップルを演じる田辺誠一と高橋和也のわざとらしくない自然な演技も良かったし、メイン以外の登場人物たちも魅力的だ。そして、故郷で兄と夜中にしみじみと会話するシーンや、カップルで女の様子を見るためにアパートを訪れ、全然出てこないので部屋の前で二人で女に呼びかけるシーンなど、何気ないのに心を揺さぶられるシーンも多かった。

 

 どんな形であれ、幸福に暮らしてくれるのであれば、なんだって良いんだよと、優しい気持ちになれる映画だった。

 

スタッフ/キャスト

監督/脚本/原作 橋口亮輔

 

出演 田辺誠一/高橋和也/片岡礼子/冨士眞奈美/光石研/秋野暢子/つぐみ/斉藤洋介/深浦加奈子/寺田農/岩松了/山中聡/佐藤二朗/飯沼誠司

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音楽 ボビー・マクファーリン

 

ハッシュ! - Wikipedia

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