★★★★☆
あらすじ
高知の山奥で和紙作りをする中年の女は、小学校に赴任してきた若い男と恋に落ちる。
感想
川沿いの道をバイクで走る若者。電車が走り民家がまばらにある道が次第に山道となり、やがては両サイドに険しい山が迫るだけの道に。そこから川を離れ、山道を登った奥にあるのがこの映画の舞台。その途中で若者が出会った第一村人が、方言がきつすぎて何言っているか分からないことで、ここはとんでもないド田舎なんだな、と実感させられる。
そしてそこの山中で一人、和紙作りをしている中年の女。やつれた姿が印象的。彼女が兄弟とその家族と共に暮らす実家の様子や、本家や分家という言葉が出て来たり、祭りの準備の様子だったりといかにも田舎に見られる光景。血縁者がかたまっていて、彼らの関係を把握するのが大変、というのは田舎あるあるかもしれない。
バイクの若者はそこの小学校に赴任した教師だったのだが、その教師と女が恋に落ち付き合い始める。二人は親子ほどの年齢差があるということなのだが、演じる渡部篤郎と天海祐希はほぼ同じ年齢なので、そのあたりがイマイチぴんと来なかった。実際にそれくらいの年齢差のあるキャスティングをすればいいのにと思ったが、逆にリアリティがなくなるのかもしれないし、その後の展開を考えた上でのことなのだろう。敢えてそうしている。
二人が付き合い始めてから集落では不吉なことが連続して起こり、村の云い伝えをからめて女のせいだと疑われ、女の一族は村人たちから憎悪の目で見られるようになる。それぞれの思考能力が失われ、集団ヒステリーを起こしている姿はザ・村人という感じで面白い。
そんな村人たちの姿は特徴をとらえてはいるが、さすがに実際はそこまでではないだろうと思うのだが、殺気立つ村の様子を訴えてもまったく動こうともしない警察は妙にリアルに見えてしまった。時々、四国の警察の不祥事や疑惑がニュースとなるが、あの前近代的な感じはこういう事かと分かったような気がしてしまった。
途中でなんとなく二人の関係は分かってしまったが、散りばめられた性的な雰囲気や映像に広がるザワザワとした感じ、やり過ぎない超自然現象と、うまく物語が展開されて飽きることはなかった。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 原田眞人
出演 天海祐希/渡部篤郎/山路和弘/原田遊人/矢島健一/深浦加奈子/入江雅人/藤村志保/淡路恵子/広岡由里子