★★☆☆☆
あらすじ
幼い頃に人を殺したと疑われて村を追われた女が、ドレスづくりの技術を身に付けて帰郷する。原題は「The Dressmaker」。オーストラリア映画。
感想
かつて町を追われた女が戻って来る話だが、この女が何のために戻ってきたのかがよく分からない。邦題的にも最初は復讐のためかと思ったのだがまったくそれに取り掛かる様子はなく、皆の注文を受けてドレスを作り始めてしまった。辺鄙な片田舎の普通の女たちがハイレベルなドレスで着飾っている様子は面白かったが、物語がどこに向かおうとしているのかは分からない。
次に、主人公がショックで記憶を失ってしまったという、殺人犯扱いされることになったかつての事件の真相を明らかにするために戻ったのかと考えたのだが、これもまた積極的に調査をする様子はない。何かのついでにそれとなく質問してみるくらいだ。そして、この真相は割と早い段階で明らかになるのだが、馬鹿みたいな死因で呆れてしまった。闘牛ごっこ?…となってしまったが、そこは笑うところだったのかもしれない。この映画はコメディ要素も入れているつもりのはずだが、笑える空気が作られていないのでほぼ笑えない。
それ以降も方向性の見えない展開が続く。村の男との恋愛や悲しい事件、村八分に相次ぐ死亡事件と、特に話の流れが感じられないままに展開されていく。主人公も受け身でその時その時の状況にただ流されているだけなので、話の推進力がまったくない。主人公が何をしようとしているのかが常に分からない状態なので、今はなんの時間?と数分おきに聞きたくなるような辛さがあってつまらなかった。過去の事件のミステリーや閉鎖社会の暗部、母娘の絆に復讐劇など、様々な要素が詰め込まれた物語にしたかったのだろうが、それらをたた脈絡なく並べて見せるだけでなく、ちゃんと一つのつながりのある物語として見せて欲しかった。
それから、終盤にばたばたと村人が死んでいくのは、ご都合主義感があって冷めた。これも主人公の明確な復讐の意思で殺されたというよりも、なんだかんだの結果死んでしまったというだけなので、主人公もまた他の村人同様の陰湿な手口を使う人間のレベルにまで落ちてしまったかのようで爽快感はない。主演のケイト・ウィンスレットの演技は相変わらず良かったが、主人公が、意気揚々と帰って来たのに村人たちのいじめにあってキレてしまったUターン移住者にしか見えなくなってしまっているのが残念だ。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 ジョスリン・ムーアハウス
脚本 P・J・ホーガン
原作 The Dressmaker: A Novel (English Edition)
出演
ジュディ・デイヴィス/リアム・ヘムズワース/ヒューゴ・ウィーヴィング/
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