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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「マスカレード・ホテル」 2019

マスカレード・ホテル

★★★☆☆

 

あらすじ

 連続殺人事件の次の現場と予想されるホテルで潜入捜査することになった刑事と彼のサポートをすることになった女性従業員。133分。

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感想

 いろんな人が大勢行き来するホテルが舞台だ。メインは連続殺人事件の潜入捜査だが、そこで日々起きるちょっとした出来事やドラマも描かれ、知られざるホテルの裏側を覗き見るような面白さがあった。客を信じてサービスするホテルマンと何事も疑ってかかる刑事が、衝突しながらも互いに信頼関係を深めていく姿が見どころのひとつとなっている。

 

 だがこれらのそもそものきっかけとなった連続殺人事件については、ほとんど映像はなく、セリフで説明されるのみだ。捜査自体もセリフだけで進展していく。観客は被害者の顔もおぼろな状態で事件の背景や全体像を自らイメージしていくしかない。正直なところ相関関係が分からなくなってしまったので途中で考えるのを放棄してしまい、特に最初の殺人事件については真相がぼんやりとしか理解できなかった。

 

 結果的にそこは細かい部分でしかなく、そこまで気にしなくても良いところだったのだが、不明な部分を残したまま、続きを見続けるのは精神衛生上気持のよいものではなかった。

 

 

 それからホテルマンのひと言が簡単に事件のヒントに直結してしまっているのが、とても安直に感じてしまった。捜査が行き詰った時などにふと彼女の言葉を思い出して解決の糸口となるのならまだしも、そのひと言を聞いた途端、次の瞬間には閃いてしまっている。トリガーが分かり易すぎるがそんなのでいいのか?とこちらが戸惑ってしまった。

 

 前半から、面白いながらも妙にいい話が多くてちょくちょくイラっとしていたのだが、中盤くらいから反発していた刑事とホテルマンの間に絆に生まれてしまい、共に情熱を燃やす本格的に暑苦しい展開になってしまった。そこはもっと飄々としたトボけたトーンのままでやって欲しかった。ただ、序盤のいい話の一つが実は本筋の伏線だった、という展開は驚きがあり良かった。

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 事件解決後、映画に恋愛要素も放り込んできそうな雰囲気を出していたので警戒してしまったが、さすがにそこは匂わす程度だったので安心した。だが後日譚が長過ぎた。最初は面白かったのだが、段々と尻すぼんでいく映画だ。上映時間が長いだけにその落差が広がってしまい、鑑賞後の印象はあまり良くない。 

 

スタッフ/キャスト

監督 鈴木雅之

 

原作 マスカレード・ホテル (集英社文庫)

 

出演 木村拓哉/長澤まさみ/小日向文世/梶原善/泉澤祐希/東根作寿英/石川恋/濱田岳/前田敦子/笹野高史/髙嶋政宏/菜々緒/宇梶剛士/橋本マナミ/田口浩正/勝地涼/鶴見辰吾/篠井英介/石橋凌/渡部篤郎/明石家さんま

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音楽 佐藤直紀

 

マスカレード・ホテル - Wikipedia

 

 

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