★★★★☆
あらすじ
手がかりがなく難航する娼婦の連続失踪事件。捜査が打ち切られそうになっていたその時、担当刑事の娘が事件に巻き込まれる。
アメリカで80年代に起きたゲイリー・ハイドニックによる猟奇事件を基にした映画。104分。
感想
ほとんど手がかりがなく、打ち切られそうになっていた事件が、担当刑事である主人公の娘が巻き込まれたことで一気に動く。これは、それまでの被害者が娼婦だったので誰も気に留めなかったからかもしれないし、刑事らがそこまで本気じゃなかったからかもしれない。つまり、それだけでも色々と根深い問題はありそうではある。ただ実際のところは、自分の娘が巻き込まれたことで、主人公がリスクを犯し、強引で無茶な捜査をしたのが大きいだろう。
一方で娼婦を家に連れ込み地下に監禁し、子供を産ませている犯人。妊娠しない者や反抗的な者は殺してしまうのだが、正直、そんなにたくさん子供を作って何がしたいのだか良く分からない。普通に子育てが大変そうだ、とか平凡なことを考えてしまった。
強引な捜査で犯人に近づく主人公。何かあると物凄い無謀運転で現場に駆け付けるのが若干大げさに感じてしまったが、実の娘に関わることだから分からなくはない。肩透かしを喰らったり、犯人とニアミスをしたりとスリリングな展開だ。
そして主人公は遂に犯人の居場所を突き止め、相棒の女性と共に突撃する。犯人を追い詰めるのだが、そこで衝撃の事実が発覚する。それまで不可解に感じていた、犯人の妙に勘の良い行動の理由が分かって頷く部分もあったが、正直、その展開に冷める部分の方が大きかった。一瞬、なるほどねと思いかけたが、いやいや無理がある、あり得ないという気持ちが次第に強くなっていった。
よく考えてみると異常者の猟奇的な事件を描いた作品はたくさんあるが、だいたいパターンは決まっている。連続して不審な事件が起き、何かのきっかけでそれが明るみになって捜査が始まり、知能の高い犯人に攪乱されながらも最終的には犯人にたどり着く。そんなワンパターンの展開を覆したかったのだと思うが、せめてもうちょっと納得感のあるどんでん返しを用意してほしかった。
それにどちらかというと、そのワンパターンの中で犯人のキャラクターや刑事との攻防を見たかったというのがある。ワンパターンの中にも、まだ誰もやっていないパターンはたくさんあるはずだ。
しかし、実在の事件をベースにしておいてこんな展開にして良いの?と勝手に心配してしまった。不満はあるが、テンポもよく緊迫感もあり、ダレることなく見られる映画ではある。
スタッフ/キャスト
監督/脚本 モーガン・オニール
出演 ジョン・キューザック/ジェニファー・カーペンター/ダラス・ロバーツ/メイ・ホイットマン/ソーニャ・ヴァルゲル/マゲイナ・トーヴァ/キャサリン・ウォーターストン