★★☆☆☆
あらすじ
資金難で解散した名門オーケストラが、何者かによって再結成され、怪しげな指揮者がやってくる。
感想
変な指揮者が現れてオーケストラの団員たちは不信感を持つが、実はすごい指揮者で、次第に両者に信頼関係が築かれ、ついにおとずれたコンサート本番では大成功を収める、というありがちではあるけれど盛り上がるストーリー。
のはずなのだが、 全然盛り上がっていかない。ずっとギアはローのまま、映画は終わっていく。色々問題はあるのだが、キャストの松坂桃李とmiwaにも問題がある。
松坂桃李はその演技しかできないのか?というくらい、どんな作品でもいつも同じ演技をしているような気がする。抑えた演技。テンションが低めというか、上げた演技ができない。物語にはメリハリが必要で、落ち着いた場面と盛り上がる場面のギャップが必要なのだが、彼は平均よりも常に低いテンションの演技。おかげで上げるべき所でギアが上がっていかない。
そして物語の中で、ギアを上げる役割を担っているのがmiwaというのもきつかった。彼女が演じるのは謎の指揮者とも親しく、他の団員とは違う異端の天才少女でムードメーカーなのだが、完全に力不足。なんでそんな重要な役割を、役者でもない人間に割り当てたのか不思議だ。彼女の演技も映画の沸点を押し下げている。
ストーリー自体もひどく曖昧だ。指揮者が過去に起こした詐欺事件の噂の真相や、スポンサーが下りたことにより継続困難になったオーケストラの資金問題など、ふんわりと描かれていて、そのうち詳細が分かるのだろうなと思っていたのに全然分からず、え、あれで説明したつもり?となってしまった。
そして楽器を演奏しながら涙を流すというシーンを、なぜか松坂桃李とmiwaの二人のバージョンを見させられたのだが、なぜ同じようなシーンを繰り返したのか、その意図を知りたい。そんなことをやってるから無駄に映画が長くなる。
クライマックスの演奏会シーン。ホールの中を自在に飛び回りながらオーケストラを捉えているようなカメラワークは悪くなかったが、余計なモノローグが入って腰を折られる感じ。もっと集中させてほしかった。盛り上がり切らない。
オーケストラ再結成の真相は、指揮者が妻に演奏を聞かせたかった、という事だったと思うのだが、最後のシチュエーションと合わせて、なんじゃそれ!と思わず呟いてしまった。煮え切らず、低温やけどしそうな映画。
スタッフ/キャスト
監督 小林聖太郎
出演 松坂桃李
miwa/濱田マリ/古舘寛治/モロ師岡/斎藤暁/嶋田久作/杉村蝉之介/小林且弥/中村倫也/松重豊/石井正則/でんでん
編集 宮島竜治