★★★☆☆
内容
心理学者による「人気」に関する考察。
感想
人気のある人はより良い人生を送っているという結果があり、その中で紹介されているいつもと違う事をする実験が面白かった。
普段はしないような恰好、たとえばショッキングピンクのTシャツを着て一日を過ごしてみるという実験。当然、周りはおかしな人だと思っていつもと違う接し方をしてくる。そして、違う接し方をしてくる他人に対して、自分までもがいつもと違ったリアクションをしている事に気づく。つまり、相手の接し方が変われば、自分までもがいつもと違う自分に変わってしまうという事だ。
人気者は周囲に好意的な接し方をされることで、ポジティブなリアクションを返してますます人気者になり、嫌われ者は冷たい接し方をされることでネガティブなリアクションを返し、ますます嫌われていく。こういった事が積み重なって、それぞれの人生が決まっていくのだなと実感した。ただ、この実験には嫌われ者が逆転するヒントも隠されていて、相手の反応を変えるような努力をすればいいという事なので救いもないわけではない。
科学的なデータが添えられて「人気」について様々な考察が紹介されているが、正直なところそんなにビックリするような新事実はなくて、そうでしょうね、という想定の範囲内。ただ、どのようにすれば我が子を人気者にすることが出来るかについて、結構な紙幅を割いているので、子育て中の人には役に立つのかもしれない。
これも、もう今さら読者は人気者にはなれないのだから、せめて子供に期待しようみたいな意図を感じて少し嫌な気持ちになってしまうのだが。
とはいえ読んでいて思うのは、科学的なデータは添えられてはいなかったが「人を動かす」は正しいことを言っているのだなという事だ。科学的根拠がないという事はだからダメではなく、まだ分からない、という事にすぎないのだなと。幽霊だとか超能力とかもそういう事なのかもしれない。
科学的な裏付けにそんなに興味がないのなら、「人を動かす」を読むだけでいいような気もしてしまった。
著者
ミッチ・プリンスタイン
登場する作品
狂気とバブル―なぜ人は集団になると愚行に走るのか (ウィザードブックシリーズ)