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個人的な映画・本・音楽についての鑑賞記録・感想文です。

「映画と本の意外な関係!」 2017

映画と本の意外な関係!(インターナショナル新書) (集英社インターナショナル)

★★★★☆

 

内容

 あの映画の中に登場した本は何を意味していたかなど、映画と本の様々な結びつきについて紹介する。

 

感想

 映画の中で登場した本が気になって読んだり、その逆に本の中で挙げられていた映画を観たりと、数珠つなぎに作品に接していくのは個人的に好きなので、それに着目したこの本はとても楽しめた。

 

 印象深かったのは豪映画「ソウルガールズ」の章の中の、ソウルミュージックについての話。

 

  ソウル音楽はアフリカ系ミュージシャンによる虐げられた者たちの音楽だったが、それにオーストラリアで虐げられていた原住民のアボリジニたちが共鳴したというストーリー。そのアボリジニにソウルを教えたのは、ヨーロッパで虐げられていたアイルランド人というのも面白い。アイルランド人とソウル音楽の関係は「ザ・コミットメンツ」でも描かれていたが、あるルーツを持った音楽が、似たような境遇にいる別の場所の人たちの琴線にも触れるというのはなかなか興味深かった。そうすると、ある土地で人気の音楽のジャンルを調べたら、その土地が地域においてどのような存在と捉えられているのかが分かったりもするのかもしれない。

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 最後の章では、映画と詩の関係について紹介されているが、個人的になかなか手が出ないのが「詩」の世界だ。映画の中で詩が朗読される場面は割とあるが、正直あまりピンときたことがないし、洋楽の歌詞などを読んでもイマイチよく分からなったりして敬遠しがち。でも最近少し手を出してみた「聖書」は案外面白かったので、毛嫌いしないで少しずつ読んでみるべきかもしれない。

 

 

 その他「太陽がいっぱい」や「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」等はそんな意味も込められていたのかと感心する箇所もあった。それから、よく考えるとあまり「本」とは関係ない章があったりもしたのだが、面白かったのでそれはそれで別に構わない。

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著者

町山智浩 

 

 

 

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